2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物化学物質(ファイトケミカル)の老化及び疾患関連変性神経細胞への影響
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21590225
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
後藤 隆洋 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (20135693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80347210)
柴田 昌宏 新潟大学, 医学部, 准教授 (10343253)
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Keywords | レスベラトロール / 老化促進マウス / 神経細胞 / ミトコンドリア / リポフスチン顆粒 / 細胞骨格タンパク質 / 細胞死関連タンパク質 / 活性酸素消去酵素 |
Research Abstract |
レスベラトロールの老化促進マウス(SAMP10)の生体内の代謝調節の中心である肝臓での影響は、肝細胞ではミトコンドリアが増加し脂肪滴が減少し、かつミトコンドリアが脂肪滴の周囲を包囲し、脂肪滴の大きさ及び分布密度が減少することがわかり、中性脂肪がミトコンドリアにより利用(β酸化)されATPが合成され、エネルギーが消費されることが示された。またクッパー細胞が増加し巨大化し食作用が活性化し、免疫能が促進され、寿命延長に貢献することが示唆された。同様の同マウスの中枢神経系におけるレスベラトロールの影響を検索すると、形態学的解析では、神経細胞ではミトコンドリアが増加し、リポフスチン顆粒が減少した。神経組織の免疫細胞化学及び生化学的解析では、シナプス小胞関連タンパク質であるシナプトフィジンの発現が増加し、神経細胞の老化が抑制されていることが示され、さらにグリアフィラメントタンパク質(GFAP)の発現が減少することも中枢神経系の老化を抑制していることと一致した。ニューローフィラメント(NF)タンパク質が減少すると共にNF-Hのリン酸化の程度が減少し、神経老化が抑制されることが示唆された。細胞死関連タンパク質に関しては、細胞死抑制タンパク質(Bc1-2、Bc1-xL)の発現が増加し、細胞死促進タンパク質(Bax)が減少することがわかり、細胞死が抑制されていることが示唆された。ミトコンドリアに局在する活性酸素消去酵素(SOD2)も特に神経細胞で増加することがわかった。これらの所見はレスベラトロール投与により、神経細胞が活性化され、神経すなわち脳の老化が抑制されていることを支持する。今後、レスベラトロールが神経細胞に直接どのように影響するか、培養細胞を用いて解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長寿遺伝子活性化植物化学物質であるレスベラトロールの神経細胞も含め各種の細胞への結果が多く得られたため、他の化学物質の効果の解析をすることができなかったが、この化学物質による細胞への効果は予想以上に有意義であるので、この物質の細胞への効果について専念することに価値があると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
生体投与でのレスベラトロールの効果はその代謝産物も考慮する必要があるため、この化学物質の神経細胞への直接的効果を解析するため、神経系の培養細胞株(PC12細胞、Nruro2a細胞)を用いて解析する。さらにこれらの細胞に現在注目されている細胞寿命に関連した長寿遺伝子(Sirtuin/SIRT)や細胞浄化遺伝子(オートファジー関連遺伝子)の発現をRNAi法で低下(ノックダウン)させ、これらの遺伝子及びそのタンパク質がレスベラトロールによってどのように影響され、細胞の機能、老化、細胞死に与える現象を解析し、レスベラトロールのこれら遺伝子への作用を明らかにし、この化学物質の神経老化への効果について検討する。
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Research Products
(1 results)