2011 Fiscal Year Annual Research Report
Naポンプα3サブユニット遺伝子の生体機能とジストニアパーキンソニズムの分子病態
Project/Area Number |
21590239
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10161283)
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Keywords | ナトリウムポンプα3サブユニット / 小脳 / プルキンエ細胞 / シナプス伝達 / 電気生理学 / 抑制性ニューロン |
Research Abstract |
Atpla3欠損マウスの神経機能に関わる表現型を詳しく解析し、速発性ジストニアパーキンソニズム(RDP)モデルマウスとしての有効性の確立に向けて下記を明確にした。 (1)Atpla3欠損ヘテロマウスにおける小脳でのシナプス機能の電気生理学的解析 1-1 Atpla3欠損ヘテロマウスで小脳のスライス標本を作製し、プルキンエ細胞へ投射するニューロンの電気生理学的解析を行った結果、抑制性シナプス伝達が野生型に比べて亢進していることが観察された。興奮性シナプス伝達には変化が見られなかった。抑制性シナプス伝達の亢進は、GABAの放出効率の上昇または、シナプス接続の増加によると考えられた。 1-2 小脳におけるナトリウムポンブα3サブユニット遺伝子は、プルキンエ細胞および、分子層に存在するバスケット細胞とステレート細胞に発現が見られた。α3サブユニットタンパク質は、プルキンエ細胞への抑制性シナプスが集積するピンスー構造に豊富に観察された。 (2)Atpla3欠損ホモマウスの神経活動の異常 2-1 Atpla3は呼吸中枢の存在する脳幹においては、呼吸中枢ニューロンで発現していた。Atpla2はグリア細胞に発現しており、呼吸機能への関与の仕組みがAtpla3とAtpla2で異なると考えられた。 2-2 呼吸リズム形成細胞および二酸化炭素濃度感受性の細胞の特異的マーカーであるPhox2bが陽性の細胞数は、野生型マウスとAtpla3欠損ホモマウスとで差がみられなかった。 2-3 Atpla3欠損マウス脳幹標本を用いて、呼吸リズム形成の解析を開始し、α2サブユニットとα3サブユニットとの機能的な違いの基盤解明を行いつつある。
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Research Products
(3 results)