2010 Fiscal Year Annual Research Report
発声-呼吸モードスィッチングにおける神経機構の解明
Project/Area Number |
21590245
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
荒田 晶子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00266082)
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Keywords | 橋結合腕傍核 / NMDAレセプター / GABA / 随意運動 / 能動的吸息-呼息切り替え / 呼吸性ニューロン |
Research Abstract |
発声は、呼吸を随意的にコントロールすることで実現される。橋結合腕傍核(Nucleus Parabrachialis ; NPB)は、呼吸と連動している肺伸展受容器からの情報と、発声中枢からの信号が入力している情報統合の場所である。呼吸モードから発声モードへ切り替える仕組みを橋結合腕傍核のレベルで明らかにするために、より単純系である摘出橋-延髄-脊髄標本を用いて実験を行った。NPBの内外側野にタングステン電極を挿入し刺激すると、刺激が入ったタイミングで吸息相が抑制され、刺激が強ければ吸息相から呼息相へとスイッチした。この場所には、能動的吸息-呼息切り替えスイッチがあると考えられた。このスイッチング現象には、NMDA-receptorとGABAシステムの関与があることが判明した。また、NPBに吸息相から呼息相に掛けて発火するニューロン(I-Eニューロン)が多く存在し、迷走神経(肺伸展受容器からの求心性入力)刺激により、そのニューロンの発火頻度が上昇することが分かった。さらに、近傍のノルアドレナリン産生細胞の影響により、I-Eニューロンは発火パターンを変えることが分かってきた。ノルアドレナリン性遮断薬であるフェントラミンで、I-Eニューロンは、呼吸リズム形成ニューロンの1つであるPre-Iニューロンの発火パターンを示した。これは、I-Eニューロンが、Pre-Iニューロンから入力をもらって発火している可能性を示唆した。以上の結果より、橋結合腕傍核には、能動的吸息-呼息切り替えスイッチであるI-Eニューロンは、Pre-Iニューロンから入力をもらっており、Pre-Iニューロンは、I-Eニューロンとなりえる事を示し、呼吸性神経回路のPost-Iになる可能性を示唆した。
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