2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590250
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
小山 純正 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80183812)
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Keywords | 脳・神経 / レム睡眠 / 自律神経系 / 情動 / 夢 / 扁桃体 / 徐波睡眠 / ラット |
Research Abstract |
扁桃体は、攻撃、威嚇、逃避といった、情動反応の中枢であり、情動の変化にともなう自律神経系反応の発現にも密接に関係している。レム睡眠中には、覚醒時のような外因性の情動性入力がなくても、覚醒時の情動反応を思わせるような自律神経系の大きな変動が観察され、これが、夢発現の基礎になっていると考えられる。また、ヒトでは、レム睡眠中に扁桃体の活動が上昇することが報告されている。したがって、扁桃体では、レム睡眠中に外因性の情動刺激なしに、覚醒時の情動反応を引き起こす機構と同様の機構が働いていると考えられる。 本年度は、レム睡眠時の情動変化(夢発現)のメカニズムを明らかにすることを目的とし、昨年度から引き続き、覚醒・睡眠サイクル(特にレム睡眠時)における扁桃体ニューロンの活動様式を詳細に解析し、さらに、さまざまな情動反応(特にレム睡眠時の血圧変動)との関連について解析した。 頭部に装着したプレートでラットを脳定位装置に固定する。ラットはこの状態でも睡眠を行うので、ガラス電極を用いて、睡眠・覚醒中の扁桃体ニューロンの活動を記録した。 扁桃体では、レム睡眠時に最も高い活動を示すニューロン(REM activeニューロン)が記録できた。特に、基底外側核では約35%がREM activeニューロンであった。REM activeニューロンは、持続性の発火を示すものは少なく、レム睡眠のある時期のみ相同的発火を示すものが約70%を占めた。それらの一部は、レム睡眠中の血圧変動と高い相関をもつ活動変化を示した。これらのニューロンにおいて、血圧変動との相関は、レム睡眠時のみに見られた。基底内側核、中心核からも、REM active neuronと、覚醒時とレム睡眠時に高い活動を示すニューロン(Waking/REM activeニューロン)が記録できたが、これらのニューロンのうち、レム睡眠中の血圧変動に特異的に相関を示すニューロンは見つかっていない。以上の結果は、扁桃体基底外側核ニューロンの一群がレム睡眠中の情動変化に密接に関連していることを示唆する。
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