2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト父性行動、母性行動の神経・内分泌学的基盤の解明
Project/Area Number |
21590259
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 一之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30226154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 正太 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50448495)
土居 裕和 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40437827)
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Keywords | 母性行動 / 父性行動 / ヒト / 近赤外分光法(NIRS) / 前頭前野 / 神経内分泌学 / ホルモン / 脳 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト母親脳、父親脳獲得機構の解明を目的とし、研究1.妊娠・出産・授乳に伴うホルモン変動が母親脳獲得にどのような影響を及ぼすのか、研究2.父親脳の特徴の解明、を中心的に研究を行った。研究1は、母親を対象に、A.妊娠期から出産後12ヶ月に至る脳機能の変化を調べること、B.わが子に特異な反応を示す脳領域を調べること、C.関連するホルモン受容体遺伝子多型を調べること、D.祖母となった女性の孫に特異な反応を示す脳領域を調べること、を行った。現在、Aでは、(1)妊娠30週、(2)産後5日のデータを取得中であるが、母親になったとしても産後2ヶ月では母親脳の特徴を呈さない可能性が確認されつつある。Bでは、既知の報告や本研究で用いている課題に反応する領域と同様、右前頭前野腹側領域に活動の増加が見られた。Cでの簡易的な調査から、オキシトシン受容体遺伝子多型の一塩基多型(SNP)が乳児の泣き声刺激に対する感受性に影響している可能性が示唆された。そこで、今後、同SNPと母親の脳機能との関連を調べ、母親脳に影響を与えるホルモンを明らかにする。また、Dでは、右前頭前野背外側領域に活動の増加が見られ、母親の場合とは異なる可能性が示唆された。次に、研究2では、父親でない男性、父親を対象に、A.申請者らが実施してきた乳児の情動識別課題(Nishitani et al., in press)に対する脳活動が両者で異なるかを調べること、B.わが子に特異な反応を示す脳領域を調べること、を行った。Aについては、データを取得中であるが、左前頭前野腹側領域に活動の違いが見られ、父親が高い傾向を示した。Bでは、左前頭前野腹側領域に活動の増加が見られ、母親の場合とは半球優位性が見られた。今後は関連するホルモン受容体遺伝子多型に注目した解析も行うことを計画している。
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Research Products
(15 results)