2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト父性行動、母性行動の神経・内分泌学的基盤の解明
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21590259
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 一之 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30226154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 正太 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50448495)
土居 裕和 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40437827)
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Keywords | 母性行動 / 父性行動 / ヒト / 近赤外分光法(NIRS) / 前頭前野 / 神経内分泌 / ホルモン / 脳 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト母親脳、父親脳獲得機構の解明を目的とし、研究1.ホルモン受容体遺伝子多型が母親脳に及ぼす影響の解明、研究2.父親脳の特徴及びホルモン受容体遺伝子多型が及ぼす影響の解明、を中心とした研究を行った。研究1は、乳児の母親を対象に、わが子の表情刺激呈示に対する前頭前野の活動を測定し、その脳賦活量がホルモン受容体遺伝子多型によって修飾を受けるかを調べ、母親脳の機能に影響をもたらすホルモンやその受容体が如何なるものであるかを明らかにすることを目的に研究を行った。先行研究や我々のこれまでの研究から、母親はわが子の表情刺激呈示に対し、右前頭前野腹側領域(右眼窩前頭皮質近傍)に脳活動の亢進が見られ、この脳活動が母性を反映することが示唆されているが、ホルモン受容体遺伝子多型によって、その活動に違いが生じる可能性を調べた。その結果、オキシトシン受容体の一塩基多型によって、母親の同領域の活動が異なっていることがわかった。これはヒト母性行動の制御に関わる前頭前野の活動は、オキシトシン神経系による制御を受けている可能性を示唆する知見であった。一方、研究2は、母親の場合と同様、乳児の父親を対象に、わが子の表情刺激呈示に対する前頭前野の活動を測定し、その脳賦活量がホルモン受容体遺伝子多型によって修飾を受けるかを調べ、父親脳の機能に影響をもたらすホルモンやその受容体が如何なるものであるかを明らかにすることを目的に研究を行った。その結果、父親もホルモン受容体遺伝子多型によって、脳活動の市進が生じ易い集団とそうでない集団に分かれ、集団間に差異が認められた。この知見は他の動物実験によって明らかにされてきた知見との共通性も見られ、ヒト父親脳獲得機構解明への手がかりとなる可能性が示唆される。
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Research Products
(7 results)