2010 Fiscal Year Annual Research Report
臓器線維化に関与する線維芽細胞のNa^+/Ca^<2+>交換輸送体の研究
Project/Area Number |
21590288
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
木村 純子 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10186322)
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Keywords | 心臓 / 線維芽細胞 / Na^+/Ca^<2+>交換輸送体 / 低酸素 / TRPM2 / クロトリマゾール / siRNA / H_2O_2 |
Research Abstract |
ラットの心臓から初代培養した線維芽細胞を用い、線維芽細胞に発現するNa^+/Ca^<2+>交換輸送体(NCX)および非選択性陽イオンチャネルであるtransient receptor potential melastatin (TRPM2)チャネルの発現量に対する低酸素刺激の影響を調べた。線維芽細胞の培養皿をアネロパックを用いて24時間、37℃のインキュベーター内で低酸素状態にした後、mRNAを回収した。また、この時、線維芽細胞をホールセルクランプし、膜電流を測定した。すると、低酸素にさらしていないコントロール細胞に比べて、低酸素にさらした細胞では、顕著な膜電流の増加が認められた。この電流は、-20mV付近で逆転することから、非選択性陽イオンチャネルの可能性がある。そこで、TRPM2阻害薬のクロトリマゾール(CLT)を、低酸素で誘導された電流に作用させると、電流が抑制された。RT-PCR法を用いてTRPM2の発現量を調べると、低酸素暴露細胞で発現量が有意に増加していた。TRPM2のsiRNAは、低酸素暴露細胞のTRPM2発現量を減弱した。また、TRPM2を活性化させるH_2O_2は低酸素暴露細胞の細胞内Ca^<2+>濃度を、コントロール細胞より有意に増加させた。またNCX1発現量は低酸素で減弱した。このことから、心臓の線維芽細胞では低酸素により非選択性陽イオンチャネルTRPM2の発現量が増え、NCX1の発現量は下がることがわかった。TRPM2はCa^<2+>透過性があることから、TRPM2発現上昇は線維芽細胞内へのCa^<2+>流入を増加させる。NCX1発現減少は、線維芽細胞からのCa^<2+>排出を減少させる。これら2つの現象が共に線維芽細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させることにより、心臓の虚血後の線維化を促進させる可能性がある。
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