2010 Fiscal Year Annual Research Report
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21590468
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山田 稔 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70106392)
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Keywords | 日本海裂頭条虫 / ゲノタイプ / サケ・マス類 / 広節裂頭条虫 / 年度発生数 / 季節発生数 / 年齢別発生数 / プレロセルコイド |
Research Abstract |
気候変動など温暖化が日本海裂頭条虫症の発生に与える影響を調べるため、昨年に引き続き、今年度も京都を中心に本症の発生状況を把握するとともに、得られた成虫の遺伝子型を調べるとともに、サケ、マスからの本虫の幼虫を検査した。今年は京都市場のみならず、北海道の魚小売業者からも5月から7月に北海道東沿岸で捕獲されたシロザケ(トキシラズ)を購入して幼虫であるプレロセルコイドの寄生状況を調べた。さらに得られたプレロセルコイドはそのゲノタイプを遺伝子的に解析した。その結果、以下のことが判明した。 1. 今年度の本症の発生数は14例で13例が日本海裂頭条虫、1例が広節裂頭条虫(輸入例)感染と同定された。またサケ・マス7尾から合計17隻の幼虫が回収された。1尾当たり最高の寄生数は7隻であった。 2. 本症の発生数を1998年~2006年と2007年~2010年の2群に分けて比較したところ、近年増加傾向にあり、症例数が増加前9年間で28例であったものが、増加後4年間では51例と著しく増加していることがわかった。 3。 本症の発生季節は春~初夏に多いこと、年齢分布では2007年以降、特に20歳以下の年齢層(小児が多い)で増加が著しいことがわかった。 4。 成虫の2種の遺伝子型AタイプとBタイプの比率は5:3であり、幼虫の遺伝子型AタイプとBタイプの比率13:4であり、Aタイプが多いことが推察されたが、詳細は将来究明できると考えている。 5. 1例の輸入広節裂頭条虫症が、形態学的、遺伝子学的に同定されたが、ロシアで淡水魚を食べて感染したものと考えられた。幸い患者はこれからもしばしば仕事でロシアへ出張する予定で、協力的であるので、中間宿主の淡水魚を含め、疫学的に調べたいと考えている。
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