2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590517
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Research Institution | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
田中 伸幸 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究部, 部長 (60280872)
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Keywords | SARS / ウイルス / 共受容体 / 細胞内侵入 |
Research Abstract |
Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS)「重症急性呼吸器症候群」の原因ウイルスとしてコロナウイルス科のSARSコロナウイルス(SARS-CoV)が同定されている。SARS-CoVの感染には宿主受容体ACE2(Angiotensin I-converting enzyme 2)であることが報告されたが、感染成立と病態発現の詳細については未だ不明の点が多い。SARS-CoVの感染成立において、新たな「共受容体」が存在し、感染成立にはACE2に加えて第2の補助レセプターが必須であることを突き止めた。本研究ではSARS-CoV感染の新たな共受容体の同定単離を行い、感染成立および病原性発現の分子機構を解明する。SARS-CoVの吸着・侵入機構および病原性発現の機構を明らかにするために、SARS-CoV偽ウイルス実験系を構築した。この実験系は、ウイルスの侵入をLuciferase活性として定量的に解析することを可能とする。COS7宿主細胞株への侵入をLuciferase活性として定量的に解析した。その結果、1)ACE2が必須であること、2)DC-SIGNとL-SIGNに共受容体がいずれも共受容体であること、が判明した。次いで、感染にACE2あるいはDC-SIGN,L-SIGNのいずれの細胞質内領域が必要であるか検討した。DC-SIGN,L-SIGNは単独でSpikeの細胞内取り込み機能を有するが、感染には至らなかった。一方、ACE2の細胞質内領域は細胞内侵入に必要ではなく、DC-SIGN,L-SIGNは感染増強を誘導することが示唆された。以上から、SARS-CoVの細胞内侵入には、ACE2あるいはDC-SIGN,L-SIGNのいずれかがあれば十分であるが、感染成立にはACE2が必要であるが、DC-SIGN、L-SIGNは感染増強に寄与することが示唆された。
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Research Products
(3 results)