2010 Fiscal Year Annual Research Report
潜伏感染EBウイルスゲノムの宿主染色体付着の分子機構の解析
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21590523
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
神田 輝 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 室長 (50333472)
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Keywords | EBウイルス / 潜伏感染 / EBNA1 / リンパ芽球様細胞株 / エピトープタグ / 免疫沈降 |
Research Abstract |
組換えEBウイルスを用いて樹立したHAタグ付加EBNA1蛋白質、あるいはFLAGタグ付加EBNA1蛋白質を発現するリンパ芽球様細胞株より細胞抽出液を調製し、抗エピトープタグ抗体ビーズで免疫沈降した。免疫沈降物の電気泳動でみられた主要な共沈殿蛋白質バンドを切り出して質量分析法により解析したところ、EBNA1結合因子として既に報告されているp32/TAP/gC1q-Rであった。さらに免疫沈降物をショットガン法による網羅解析にかけたところ、p32由来のペプチド断片は、抗HA抗体ビーズ、抗FLAG抗体ビーズによる免疫沈降物において共通して高いスコアで同定された。一方で別の既報告因子であるHAUSP(USP7)は抗HAビーズを用いた免疫沈降実験でのみ同定された。核抽出液を用いた免疫沈降・ウエスタン法により、EBNA1蛋白質とp32蛋白質の相互作用を確認した。p32蛋白質と相互作用する領域を欠失したEBNA1蛋白質変異体は、宿主染色体への付着が見られなかった。p32蛋白質は、EBウイルス潜伏感染の有無に関わりなく、主にミトコンドリアに、一部核内にドット状に局在した。一方EBNA1およびp32の両蛋白質を強制発現させると、EBNA1蛋白質の核内発現にともなって、p32蛋白質の核内局在の増強が見られた。p32蛋白質は、数多くのウイルス蛋白質と相互作用する介添え因子として報告されており、EBNA1蛋白質が核内においてその機能を発揮するための介添え因子である可能性が示唆された。
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