2011 Fiscal Year Annual Research Report
潜伏感染EBウイルスゲノムの宿主染色体付着の分子機構の解析
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21590523
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
神田 輝 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 室長 (50333472)
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Keywords | EBウイルス / 潜伏感染 / EBNA1 / リンパ芽球様細胞株 / 免疫沈降 |
Research Abstract |
ヒトBリンパ球に潜伏感染するDNA腫瘍ウイルスであるEBウイルスは、約170キロベースの二本鎖環状DNA(エピゾーム)として感染細胞核内で複製・維持される。その際に中心的な働きをするのが、EBウイルスがコードする核蛋白質EBNA1である。EBNA1蛋白質は、そのN末端側に塩基性アミノ酸であるアルギニンに富む「染色体結合ドメイン」を持つ。一方、C末端側には、配列特異的DNA結合ドメインを持ち、ウイルスゲノムのorip領域に集中して存在するEBNA1認識配列に結合する。この両者により、染色体とウイルスゲノムの橋渡しを行なう。 EBNA1蛋白質の宿主染色体局在化メカニズムとして、宿主細胞性因子との相互作用の可能性が考えられた。そこでEBNA1蛋白質と相互作用する細胞性因子を探索したところ、EBNA1蛋白質の染色体結合ドメインと相互作用する細胞性因子としてp32/TAP/gClq-Rが再同定された。EBNA1蛋白質が染色体局在する上で、p32蛋白質がどのように関与するかを調べるために、p32発現を抑制するshRNA発現レトロウイルスベクターを作製した。EBウイルス潜伏感染細胞にshRNAレトロウイルスを感染させたところ、p32の発現がほぼ完全に抑制された。p32の発現がほぼ完全に抑制された状況下でも、EBNA1蛋白質の染色体局在に変化は見られなかった。またp32のウイルス産生における役割を調べるため、p32発現を抑制した細胞においてウイルス産生誘導をかけたが、感染性ウイルス産生には特に影響はみられなかった。以上の結果から、p32がEBNA1蛋白質の染色体局在化において機能するという仮説は否定的と考えられた。
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