2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590530
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹下 敏一 Shinshu University, 医学部, 教授 (60212023)
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Keywords | サイトカイン受容体 / エンドソーム / 小胞輸送 / ユビキチン |
Research Abstract |
免疫系や神経系では、細胞内の高度に分化した区画を維持しながら、かつ綿密にその区画間の連絡を行っている。この困難な機能が破綻無く働いている背景に、この機能を支えている小胞輸送の存在がある。小胞輸送は従来考えられていたより多くの、分子や分子群が関与する複雑な機構であることが分かってきた。本研究ではサイトカイン受容体を例に取り、未だ不明な点の多い小胞輸送機構を明らかにすることによって、免疫機構解析の基盤とする。我々が明らかにしたインターロイキン2(IL-2)受容体β鎖のユビキチン非依存性小胞輸送ルートは、その詳細がほとんど分かっていない。Tリンパ球、Bリンパ球の増殖分化に関わるIL-4、IL-7もまたユビキチン非依存性小胞輸送ルートを取ることが、我々のデータから分かってきた。ユビキチン非依存性小胞輸送には、小胞輸送に関わる分子、「Hrs」とIL-2受容体β鎖の会合が必須である。即ち、サイトカイン受容体のHrs結合モチーフを明らかにすることにより、このユビキチン非依存性小胞輸送ルートの全貌を明らかにすることが出来る。これまで我々は、IL-2受容体β鎖のアミノ酸349-410の領域がHrsとの結合に必須であることを報告している。本年度我々はIL-2受容体β鎖とIL-4受容体α鎖のHrs結合領域を絞り込み、そのアミノ酸配列を比較することにより、このモチーフを明らかにした。モチーフの特徴は疎水性アミノ酸であった。この様なモチーフとHrsとのユビキチン非依存性結合は、不明な点が多いユビキチン非依存性小胞輸送ルートでは、初めての分子機序の証明である。IL-2受容体β鎖をはじめとする我々の結果は、サイトカイン受容体の小胞輸送経路がユビキチン依存的ルートとユビキチン非依存的ルートに大きく分かれることを示唆している。
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