2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590530
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹下 敏一 信州大学, 医学部, 教授 (60212023)
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Keywords | サイトカイン受容体 / エンドソーム / 小胞輸送 / ユビキチン / 小胞輸送シグナル |
Research Abstract |
免疫系や神経系では、細胞内の高度に分化した区画を維持しながら、かつ綿密にその区画間の連絡を行っている。この困難な機能が破綻無く働いている背景に、この機能を支えている小胞輸送の存在がある。小胞輸送は従来考えられていたより多くの、分子や分子群が関与する複雑な機構であることが分かってきた。その機構の鍵となる分子はユビキチンであり、輸送される受容体等にユビキチンが付加されて、輸送の目印となる。本研究ではサイトカイン受容体を例に取り、未だ不明な点の多い小胞輸送機構を明らかにすることによって、免疫機構解析の基盤とする。我々はインターロイキン2受容体β鎖(IL-2Rβ)がユビキチン非依存に小胞輸送されること、また、この輸送にユビキチン依存性小胞輸送の中心的な分子であるHrsが関わることを明らかにした。Hrsは非ユビキチン的にIL-2Rβの細胞内領域に結合して機能する。本研究ではさらにIL-4Rα鎖が同じ輸送系の分子である事を見いだし、IL-4RαとIL-2Rβの細胞質領域にあるHrs結合領域、即ち、輸送シグナルを同定した。両受容体のHrs結合領域(輸送シグナル)は疎水性アミノ酸クラスターを形成していた。そのアミノ酸配列はIL-2Rβはアミノ酸336-338(FFFHL)、IL-4Rαはアミノ酸410-415(LFLDLL)であった。従って、Hrsはアミノ酸の1次配列よりも疎水性アミノ酸を一塊として認識していると考えられる。また、Hrs側の受容体結合領域はアミノ酸428-466であったが、特異的なアミノ酸1次配列は見いだせず、今後の課題となった。以上の結果は、サイトカイン受容体の小胞輸送経路がユビキチン依存性ルートとユビキチン非依存ルートに大きく分かれていることを示す。このユビキチン非依存ルートに関わる輸送シグナルの同定は本研究が初めての証明である。
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