2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体侵襲時におけるヘムオキシゲナーゼ-1を介する血栓形成制御機構の解明
Project/Area Number |
21590613
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森下 英理子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50251921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学系, 教授 (40210281)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ-1 / 組織因子 / PAI-1 / 血管内皮細胞 / トロンボモジュリン / 血栓形成 / 一酸化炭素 / ビリルビン |
Research Abstract |
I.EBウイルス形質転換B細胞株(LCL)における検討: HO-1欠損症患者由来LCLに酸化ストレスであるヘミンを添加すると、組織因子(TF)、PAI-1が著増した。そこで、HO-1欠損症患者由来LCLにヒトHO-1遺伝子を導入すると、ヘミン添加によるTF、PAI-1の増加が有意に抑制された。以上の結果より、HO-1がTFおよびPAI-1の発現調節に関与していることが示唆された。 II.HUVECおよび単球を用いた研究: (1)HUVECあるいは単球にあらかじめクルクミンを添加しておくと、TNF-α刺激により増加したTF、PAI-1が有意に減少した。さらに、HO-1の阻害剤(SnPP)を添加しておくと、HO-1の効果が抑制されるため、再びTF、PAI-1の増加が確認された。(2)CORM-2単独添加によりTF、PAI-1発現はほとんど変化を示さなかった。一方、TNF-αを添加すると、TF、PAI-1は有意に増加するが、CORM-2をあらかじめ添加してからTNF-αを添加すると、TNF-α単独添加に比べてTF mRNAは約60%、PAI-1 mRNAは約70%増加が抑制され(p<0.05)。タンパクも同様の結果を示した。以上の結果より、クルクミンおよびCOは、炎症で惹起される血管内皮細胞上あるいは単球における血栓傾向を改善する可能性が示された。 (3)クルクミン、CO添加による細胞内シグナル伝達系の解析:クルクミンおよびCOをHUVECに添加すると、p38MAPK、ERK1/2、JNKの抑制およびNF-κBの核内移行阻害によりTF、PAI-1発現を抑制していることが示された。
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