2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ初感染時期の実態調査と口腔内ケアによる感染予防対策
Project/Area Number |
21590720
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
柴崎 浩一 The Nippon Dental University, 新潟生命歯学部, 教授 (30018882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 卓也 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (00440066)
長谷川 勝彦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60328870)
山脇 敏裕 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (00508492)
|
Keywords | 感染症 / ピロリ菌(H.pylori) / 口腔衛生 / 幼児 |
Research Abstract |
Hericobacter pylori (H.pylori)の幼少児期における初感染時期ならびに感染経路を明らかにするために、無作為に抽出した幼稚園・保育園の園児(3~6歳)をコホート対象とし、長期間の追跡調査を行うことを目的とした。1年目は新潟市内の3つの幼稚園・保育園に通う園児とその母親のH.pylori感染率を検討した。対象者には本研究の主旨・内容・利点・欠点について十分に説明し、理解・同意を得た。本研究は本学倫理委員会の承認を得た後に研究参加同意書を作成したのちに開始した。「結果」1.検体は園児174名、その母親(139名)から採取した。すなわち、滅菌ロールワッテを舌下部に静置させ、得られた安静時混合唾液を採取したのち、測定まで-80℃で保存した。DNAの抽出は100μlの唾液を用いてQIA amp DNA Mini kitで行った。抽出したDNAをreal time PCRを用いて増幅し、Taqman methodでH.pylori DNAの同定を行い陽性であったものを感染者とした。2.園児のH.pylori DNA感染率は3歳児で5.4%(2/37)、4歳児で6.3%(6/95)5歳児で7.1%(3/42)であった。園児の母親のH.pylori感染率は、20歳代で28%(2/7)、30歳代で20%(17/84)、40歳代で15%(6/38)であった。H.pylori DNAが陽性であった園児11名中6名では母親も陽性であった。「研究の意義ならびに重要性」3~5歳のH.pylori感染率は、年齢とともに増加傾向を示し、幼児での感染者の半数以上で母親にもH.pylori感染が認められたことは、母から子への感染を示すものである。今後は、同じコホートを用いて一年ごとの感染者の推移を検討する予定である。さらに口腔衛生の重要性について啓蒙し、園児ならびに両親の口腔衛生の向上がH.pylori感染を減少させうるか否かについても研究していきたい。
|