2010 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚障害(感覚器障害)の予防・治療に有効な和漢薬の作用機序と活性物質の探索研究
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21590776
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鳥居塚 和生 昭和大学, 薬学部, 教授 (60135035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 康昭 昭和大学, 薬学部, 准教授 (50175551)
堀 由美子 昭和大学, 薬学部, 講師 (60317584)
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Keywords | 東洋医学 / 生薬・天然物化学 / 生薬・天然物薬理学 / 嗅覚障害 / 感覚器 / 記憶学習能 |
Research Abstract |
硫酸亜鉛点鼻による嗅覚障害モデルマウスの嗅球中モノアミン含量の変化を検討した結果,嗅球中のドパミン(DA)含量が低下することが示された.またこのモデルマウスに漢方処方の加味逍遥散(KSS : 柴胡,芍薬,朮,茯苓,当帰,甘草,牡丹皮,山梔子,薄荷,生姜)を経口投与した群では,DA含量の低下は認められず嗅覚障害を予防する可能性が示された.ステップスルー型受動的回避学習装置を用いた検討で,記憶学習能を測定したところ,記憶保持能は嗅球障害によって低下した.この低下はコリンエステラーゼ阻害剤のフィゾスチグミンにより抑制されたことから,嗅覚障害によりコリン作動性神経系の低下が起こることが示された.これらを踏まえKSSの効果を経日的に評価したところ,嗅覚障害群では記憶能の低下が認められたが,一方,KSS投与群では低下が抑制され記憶能の改善が認められた. また,オープンフィールドを用いた自発運動量の測定から,これらのDA神経系が関与する行動には,嗅球において神経伝達物質として作用しているL-carnosine (β-alanyl-L-histidine)が関与していることを示す成績が得られた.このL-carnosineと漢方処方の効果との関連について,今後明らかにする予定である.
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