2010 Fiscal Year Annual Research Report
通常食で自然肝発癌する非アルコール性脂肪肝炎モデルマウスにおける発癌の分子機構
Project/Area Number |
21590849
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
西原 利治 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (60145125)
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Keywords | NASH / NAFLD / 肝細胞癌 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
通常食で自然肝発癌するDouble knockout NASHモデルマウスを開発した。このマウスにまずストレプトゾトキシンを投与して、膵β細胞を破壊することによりインスリン分泌不全型糖尿病を誘発した。そして、ストレプトゾトキシンを投与しなかった自然肝発癌モデルマウスと比較することにより肝発癌が促進されるか、12か月齢において検討を行ったところ、ストレプトゾトキシンの投与により発癌率が1.6倍に増加することが明らかになった。そこで、この2種類の動物の肝非癌部を用いて、マイクロアレイ法により発癌に関連するとされる重要な遺伝子36種類、脂肪酸合成と異化に関与する遺伝子について、その発現状態を検討した。さらにRT-PCRとNorthern blotによる確認を追加した。その結果、ストレプトゾトキシンを投与した自然肝発癌モデルでは、非投与マウスに比してFASをはじめとする脂肪酸合成系、並びにPPAR-αをはじめとする脂肪酸β酸化系の酵素誘導が増強されていた。 次いで、外因性エストロゲンの投与によりこのような遺伝子発現の偏倚是正が可能であるか検討したところ、脂肪酸の合成と異化の亢進はエストロゲンに良く反応して、肝臓における中性脂肪含量は低下した。そこで、外因性にエストロゲンを投与して自然肝発癌を抑制した際に偏倚是正が可能であった重要な遺伝子の発現について、エストロゲンアゴニストを投与した場合にも同様の効果が得られるか検討したところ、この方法にても同様の遺伝子発現の偏倚是正が可能であるとの成績が確認された。しかし、この系ではエストロゲンによるIL-6の過剰発現抑制効果は観察されなかったため、この系における肝発癌へのIL-6の関与は大きくないと考えられた。
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