2011 Fiscal Year Annual Research Report
宿主因子をターゲットにした新しいC型肝炎ウイルス治療
Project/Area Number |
21590860
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 和明 昭和大学, 医学部, 准教授 (90232529)
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Keywords | HCV / サイクロフィリン / 宿主因子 / 抗ウイルス剤 |
Research Abstract |
C型慢性肝炎は約200万人が本邦で罹患し、末期肝硬変および肝細胞がんの原因の筆頭をしめる、医療健康上の重大な問題である。 これまでの慢性C型肝炎治療はインターフェロンとリバビリンの組み合わせであり、この組み合わせは非特異的の抗ウイルス効果による治療であった。そのため治療の奏功率が50%以下であった。昨年末よりHCVのNS3Aを標的としたプロテアーゼ阻害剤が認可され、治療の奏功率は向上したが、有害事象を別にしても、耐性化と一部の遺伝子型にしか有効でないという重大な問題が惹起されている。HCVはその増殖にホスト側の因子としてサイクロフィリンを必要としている。我々はすでにインターフェロンにサイクロスポリンAを併用することにより治療の奏功率が著しく向上することを見いだし報告した。その後は有害事象を減らすためにカルシニューリン阻害作用が無く、サイクロフィリンへの親和性が高い物質を検討している。 今回の検討でもA,Bの異なる化合物をcandidateとして検討した。これらの化合物はin vitroの検討では、CsAの数倍のHCV増殖抑制効果を示し、またCNに対する結合性は化合物Aではin vitroのassayではレポーター系と細胞系で乖離が認められたが、化合物Bではそのような乖離は認められなかった。今後の展望としては宿主因子の阻害剤のライブラリーの構築が容易になった現在では、これまでにもまして可急的速やかに新たな阻害薬の開発が期待される。本研究もその嚆矢として位置付けられるものと考えている。
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Research Products
(3 results)