2011 Fiscal Year Annual Research Report
グレリンの自律神経作用を介した新しい不整脈治療法の開発
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21590899
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
添木 武 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60393211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 政隆 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80345214)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 生理活性ペプチド / 薬理学 / 心臓病 |
Research Abstract |
初年度から行っているラット心筋虚血再灌流モデルにおける心室性不整脈へのグレリンの効果を引き続き行い、さらなる検討を加えた。雄Sprague-Dawleyラットの左冠動脈を結紮し30分間の心筋虚血を起こし、その間にグレリン(100μg/kg)あるいは生理食塩水(生食群)を投与した。また、グレリンに加えアトロピンを投与した群を作成し、カプサイシン塗布による迷走神経求心性線維を特異的にブロックした群も作成した。その間心電図的に心室性不整脈の頻度を調べ、その後摘出心の生化学的・病理学的検討を行った。なお、対照として正常ラットの摘出心を用意した。生食群と比べ、グレリン投与群では、心室性頻拍性不整脈の出現頻度は有意に抑制された。Western blotting法によるリン酸化Connexin 43の発現量は、心筋虚血後の生食群では正常群と比べ著明に減少していたが、グレリン投与により有意に改善した。免疫組織染色でも、グレリン投与により心筋虚血後のリン酸化Connexin 43の発現低下が明らかに抑制されていた。しかしながら、グレリンの抗不整脈作用並びにConnexin 43に対する効果は、アトロピン投与の併用あるいは迷走神経求心性線維ブロックにより明らかに減弱した。また、心電図の心拍変動スペクトル解析を行ったところ、グレリンの急性投与により、副交感神経活性の指標であるhigh-frequency power(HF)は増強し、交感神経活性の指標であるlow-frequency power/high-frequency power(LF/HF)比は低下していた。そして、この効果についても、アトロピン投与の併用あるいは迷走神経求心性線維ブロックにより明らかに減弱していた。これらの結果より、グレリンは副交感神経亢進並びに交感神経抑制作用を有し、その直接効果並びに心臓でのConnexin 43の発現調節などを介して虚血心筋に対し抗不整脈効果を発揮する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)