2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590993
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木島 貴志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90372614)
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Keywords | 小細胞肺癌(SCLC) / 多剤耐性 / 細胞接着誘導抗癌剤耐性(CAM-DR) / テトラスパニン / CD9 / 分子標的治療 / ケモカイン / CXCL12 |
Research Abstract |
我々は、小細胞肺癌(SCLC)患者組織で多剤耐性化後にのみ、細胞株でも耐性株でのみCD9が発現することを見出した。CD9発現株では細胞外マトリックス(ECM)への接着能が著明に亢進し、細胞運動能が低下していた。ケモカインCXCL12刺激で耐性株のCD9発現は一過性に低下し運動能が回復した。以上より、CD9はSCLC多剤耐性化における細胞接着誘導抗癌剤耐性(CAM-DR)機序成立に深く関与することが示唆された。次に、CD9を標的とした多剤耐性克服治療の可能性を検討した。siRNAによるノックダウンまたは抗CD9抗体により、耐性株選択的にアポトーシスを誘導できた。以上の成果はCancer Research誌に掲載された(下記)。さらに、CXCR4阻害剤のSCLC細胞のECMへの接着能や運動能抑制効果をin vitroで証明し、現在マウス実験的転移モデルや皮下腫瘍モデルを用い、CXCR4阻害剤やCD9抗体の治療効果を検討中である。CXCL12/CXCR4経路やCD9の血管新生への関与が最近明らかになっており、腫瘍血管新生阻害効果も併せて評価中である。続いて、我々はHER2が日本人由来多剤耐性SCLC株で発現増強していることを見出した。HER2発現はSCLCの予後不良因子の1つであるが、欧米人SCLCにはほとんど発現がなく、人種差の可能性がある。HER2キナーゼ阻害剤lapatinibは単独では耐性株に細胞死を誘導できないが、抗癌剤感受性を回復させた。lapatinibの薬剤排出ポンプ阻害作用によるものと考え、メカニズムを解析中である。次に、抗HER2抗体(trastuzumab)がHER2直接阻害に加えて強い抗体依存性細胞障害(ADCC)活性を発揮し耐性株にアポトーシスを誘導することをin vitroで証明し、現在進行中のマウスモデルを用いた治療実験でも著明な抗腫瘍効果が得られている。
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Research Products
(1 results)