2011 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスを介した糸球体足細胞傷害機序の解明と治療戦略への応用
Project/Area Number |
21591020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 健彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90447409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90311620)
稲城 玲子 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50232509)
田中 哲洋 東京大学, 保健健康推進本部, 助教 (90508079)
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Keywords | 糸球体足細胞 / 小胞体ストレス / 蛋白尿 / アポトーシス / 分子シャペロン / グルコース / 低酸素 / 虚血再灌流モデル |
Research Abstract |
本研究では糖尿病性腎症などの蛋白尿関連腎症の発症と進展に寄与している糸球体足細胞傷害の機序として種々の小胞体ストレスの関与を詳細に検討し、小胞体ストレス応答制御による糸球体障害の治療法の確立を目指している。前年度までに、研究代表者らが確立したマウス温度感受性培養糸球体足細胞に対して代謝負荷(高グルコース負荷・低グルコース負荷・低酸素負荷)をかけた時の小胞体ストレス応答について詳細に検討を加え、小胞体ストレス関連分子GRP78,CHOPの発現変動がこれらの負荷に対して鋭敏に反応することを見出した後に、小胞体ストレス応答と細胞死のシグナルについて検討を加えた。 分化条件で培養した足細胞に2種類の強度で低酸素負荷を加えたところ、細胞死に至らない条件においてもCHOPの発現が著明に上昇することが見出された。CHOPは一般的に、小胞体ストレスに対して最終的にアポトーシスを誘導する経路に密接に関与しているが、ウェスタンブロッティングや細胞染色などの細胞生物学的検討によりBcl-2ファミリー蛋白などが複雑に関与しているという結果が得られた。CHOPの発現をsiRNAで抑制することによる細胞生物学的変化(細胞死・形態変化・走化性)を観察している。同時に、虚血再灌流モデルを初めとする腎障害動物モデルにおける小胞体ストレス応答について、免疫組織化学染色を用いて検討している。 関連実験として、糖尿病性腎症や腎不全、動脈硬化の進行に重要な役割を果たしているmethylglyoxalなどのカルボニル化合物によるカルボニルストレスが直接的に足細胞傷害を誘導するという結果を得た。我々は既にカルボニル化合物の代謝に重要な役割を果たしているglyoxalase-1(GLO-1)の安定発現株を確立しており、糸球体足細胞において各種代謝負荷による細胞傷害にカルボニルストレスがどのような役割を果たしているか、検討を始めている。
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