2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病から腎不全に至る不可逆的形質変化の分子機構解明
Project/Area Number |
21591033
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安部 秀斉 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60399342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 治彦 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60402830)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / Smad1 / BMP4 / Sox9 / ALK3 / 6 / Scleraxis |
Research Abstract |
間葉系細胞由来の糸球体構成細胞が最終的に骨芽・軟骨細胞様形質変化をきたし、不可逆的に腎不全に至る糸球体硬化の分子病態を明らかとする目的で、間葉系幹細胞から軟骨細胞への分化のマスター遺伝子である転写因子Sox9に着目した。(1)Sox9は間葉系細胞のひとつである腎メサンギウム細胞において、糖尿病条件下で増加するBMP2/4により強力に発現が誘導された。このシグナルはDorsomorphinによって阻害され、BMP2/4-ALK3/6-Smad1の経路が活性化し、osteo-/chonro-cyte like cellsへの形質転換が誘導された。また、糖尿病性腎症のヒト・マウス・ラットの糸球体硬化病変において、病変の進行とともにSox9の糸球体内の発現増加が免疫組織学的解析に明らかとなり、糸球体硬化の進行過程にSox9が関与していた。(2)BMP2、BMP4は腎を含む正常の発生に必須のタンパク質であるため、タモキシフェン誘導による発現時期調節可能なノックインマウスの作成を行った。腎糸球体内でのBMP2およびBMP4の強力な発現を惹起するstrainを選定した。これらのstrainの病理組織学的解析により、これらマウスはヒト糖尿病性腎症に類似したモデルであった。これらモデルマウスにおいて、Sox9の腎での局在は免疫組織学的染色によって糖尿病マウスと同様に確認された。(3)腎メサンギウム細胞は、形質転換がおこり、SMAを発現することが知られていおり、promoter領域のbHLH型転写因子結合motifであるE-boxに着目し、degenerative PCR法により、中胚葉から骨・軟骨への分化に必須である転写因子Scxをクローニングした。Sox9, ScxはAGE刺激を行ったメサンギウム細胞のみから得られ、糖尿病において間葉系幹細胞由来の細胞が骨・軟骨形質を獲得し、本来の機能を喪失する機構が解明された。
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