2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591048
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中島 衡 福岡大学, 医学部, 准教授 (70188960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 勝久 福岡大学, 医学部, 講師 (50448411)
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Keywords | IgG4関連疾患 / 尿細管間質性腎炎 / Th2サイトカイン / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
IgG4関連疾患は、膵外病変をもつ自己免疫性膵炎(AIP)の症例経験を積み重ねていく中から誕生した新しい疾患概念である。2004年以後、AIP患者に合併した尿細管間質性腎炎(tubulo interstitial nephritis:TIN)の症例が報告されはじめた。AIP発見時もしくは経過中に腎機能低下があり、腎生検光顕組織における間質の細胞浸潤や線維化とともに、免疫染色にてIgG4陽性形質細胞が多数認められた。その後、AIPの全身精査中に画像診断で偶然に発見された腎機能低下のない腎病変や、AIPがなく慢性硬化性涙腺炎・唾液腺炎に合併したIgG4関連TIN、さらに、膵病変や涙腺・唾液腺病変のないものや腎臓に限局した特異的な病変も報告されるようになった。このような「IgG4関連腎臓病」と呼ばれる病態の解明のために、IgG4関連腎臓病ワーキンググループが組織され、平成22年度から「IgG4関連腎臓病の臨床病理学的特徴を明らかにするための多施設共同後方視的研究」を実施している。一刻も早く診療指針を示すことが急務となり、登録されたIgG4-RKD41例の解析結果をもとに、診断アルゴリズムと診断基準を作成し発表した。今後は、我々が作成した診療指針の検証を行う必要がある。登録済みの36例、および日本腎臓学会東部・西部大会でIgG4関連腎臓病あるいはそれに類似した疾患として報告された約100例を、今回提唱した診断基準を基に作成した10種類の診断パターンに分類し、診断基準の適正な評価を試みることとした。一方IgG4-RDの機序については、自己免疫やアレルギーとの関連が考えられているが、不明な点が少なくない。しかし、我々は実際の腎組織におけるサイトカインmRNA産生パターンからTh2および制御性T細胞応答系が関わるとの報告をし、さらにIgG4-RDであるミクリッツ病に関しても、唾液腺組織を用いた解析で、同様の結果を得る事ができた。今後は、疾患モデルマウスの作成し、発症機序の詳細な検討を行う予定である。
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Research Products
(5 results)