2009 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞ブドウ糖毒性の分子機構および治療法の検討-転写因子PDX-1を中心に-
Project/Area Number |
21591135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金藤 秀明 Osaka University, 医学系研究科, 講師 (80448034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松久 宗英 徳島大学, 糖尿病臨床研究開発センター, 教授 (60362737)
松岡 孝昭 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10379258)
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Keywords | 糖尿病 / ブドウ糖毒性 / 酸化ストレス / インスリン抵抗性 / 膵β細胞 / フェントン反応 / 銅イオン / 銅キレート剤 |
Research Abstract |
(背景・目的) 糖尿病状態においては酸化ストレスが惹起され、その病態に関与することが知られている、また、銅イオンはフェントンを介して酸化ストレスを惹起することが知られていることから、銅キレート剤により酸化ストレスの減少が期待される。本検討の目的は、2型糖尿病モデルマウスに銅キレート剤を投与することによって、2型糖尿病の病態における銅イオンの関与を検討し、また銅キレート剤が2型糖尿病の新しい治療法となるかどうかを検討することである。 (方法・結果) 2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウス(10週齢)においては、コントロールマウスに比べて、血清銅値の増加が認められ、それに伴って血清ラジカル生成能の増加も認められた。次に、2型糖尿病の病態における銅イオンの関与を検討するために、2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウス(8週齢)に銅キレート剤(tetrathiomolybdate)を飲料水に混入させて(0.02mg/ml)2週間経口投与群した結果、血清銅値の有意な低下が認められ、それに伴って血清ラジカル生成能の有意な低下も認められた。食事摂取量、体重などの変化は認められなかったが、銅キレート剤投与により、随時血糖値の有意な低下が認められた。さらに、投与終了時において、グルコース負荷試験にて耐糖能の改善、インスリン負荷試験にてインスリン抵抗性の軽減が認められた。また血中コレステロール値は変化を認めなかったが、中性脂肪値は有意に低下した。膵臓、肝臓、脂肪組織において形態学的な変化は認めなかった。 (結論) 銅イオンは2型糖尿病の病態に関与しており、また銅キレート剤は2型糖尿病の新しい治療法となる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)