2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂肪酸結合蛋白を標的分子としたメタボリックシンドローム治療の基礎的基盤の確立
Project/Area Number |
21591151
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
阪上 浩 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60372645)
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Keywords | 脂肪酸結合蛋白 / 肥満 / 耐糖能異常 / 脂肪細胞 / ノックアウトマウス / インスリン抵抗性 / 高脂肪食 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、申請者が新たに見出した新規脂肪酸結合タンパク質ALBPによる脂肪細胞肥大化の制御機構を明らかとし、ALBPによる脂肪酸代謝制御機構を治療標的とした小分子化合物などの創薬や医療への応用における基盤確立にある。このため本年度は、ALBPノックアウトマウスの解析や脂肪酸との結合様式の解析を通じて、脂肪組織におけるALBPによる脂肪酸代謝制御機構を明らかとし、阻害薬開発の可能性を探索するためのALBPの機能解析を実施した。 (1)高脂肪食給餌ALBPノックアウトマウスの解析 ALBPノックアウトマウスでは、高脂肪食給餌に伴う脂肪細胞の肥大化が抑制され、肥満発症が予防された。さらに良好な糖代謝と高脂肪食によるインスリン抵抗性の発症抑制が示された。これはエネリギー消費の亢進によるもので、骨格筋におけるPPARαの発現亢進によるものであることを明らかとした。 (2)ALBPの脂肪細胞特異的トランスジェニックマウスを作製 脂肪細胞特異的にALBPを発現するトランスジェニックマウスを作製するため、脂肪酸結合タンパク質FABP4/aP2のプロモータ5.4kbを用いてALBP発現プラスミドを構築し、目的蛋白を発現できることを確認した。 (3)細胞内の脂肪酸代謝におけるALBPの役割の解明 スキャチャード解析にてALBPの脂肪酸結合能を検討した結果、脂肪酸に結合できることを見出した。またALBPは脂肪酸存在下で多量体を形成することを明らかとした。 上記の脂肪組織の肥大化に伴いその発現が著しく亢進すること、及びALBPノックアウトマウスが肥満に抵抗することを考慮すると、ALBPは脂肪蓄積に必須の分子であることが明らかとなった。
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Research Products
(31 results)