2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591179
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
梶 博史 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (90346255)
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Keywords | 筋肉 / 骨 / 骨芽細胞 / 副甲状腺ホルモン / 分化 / BMP-2 |
Research Abstract |
私共は筋芽細胞において進行性化骨性線維異形成症(FOP)の原因変異遺伝子ALK2(R206H)の過剰発現により誘導される新しい因子として、Tmem119を同定した。骨芽細胞(マウス骨芽細胞様MC3T3-E1細胞およびマウス頭蓋骨よりの初代骨芽細胞培養)において、Tmem119が骨形成促進剤の副甲状腺ホルモンにより1時間以内にcAMP系およびSmad3を介して誘導され、骨形成シグナル分子のβカテニン発現を増加させることを見いだした。骨芽細胞における機能解析をおこなったところ、Tmem119がオステオカルシンを中心とした骨芽細胞分化指標を増加する作用を有し、骨芽細胞分化因子であることが示唆された。さらに、骨形成に必須の転写因子であるRunx2やBone Morphogenetic Protein (BMP)特異的なSmadであるSmad1,Smad5と機能的にも物理的にも相互作用し、PTHがそれを増強することを明らかにした。また、骨芽細胞において、BMP-2がTmem119の発現を増加させ、また免疫蛍光染色にてTmem119が主として細胞質に発現し、その発現が副甲状腺ホルモンにより増加することを示した。これらの結果より、Tmem119が骨形成促進剤の標的分子として、期待され得る因子である可能性が考えられた。 さらに、Tmem119が未分化な筋芽細胞株C2C12細胞から骨芽細胞、筋管細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化に及ぼす影響を検討したところ、Tmem119は筋芽細胞から骨芽細胞への分化を誘導する作用を有したが、筋管細胞への分化を抑制した。そこでTmem119が骨芽細胞への分化を誘導する機構について検討したところ、BMP-2産生誘導を介すること、Runx2以前の骨芽細胞分化経路よりもRunx2やその下流の骨芽細胞分化因子であるOsterix以降の経路に作用することを示唆するデータを得た。現在さらにその機序の詳細を検討中である。これらの筋骨化因子の研究と併行して、筋組織から産生される骨形成因子の探索を進めており、現在いくつかの候補因子の骨形成活性について、機能解析を進めている。
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Research Products
(3 results)