2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト白血球抗原半合致造血幹細胞移植療法の安全性確立に向けての研究
Project/Area Number |
21591252
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
小川 啓恭 Hyogo College of Medicine, 医学部, 教授 (80194447)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 広哉 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70416254)
池亀 和博 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20372609)
藤岡 龍哉 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70403045)
吉原 哲 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90461037)
|
Keywords | 造血幹細胞移植 / HLA不適合移植 / 移植片対宿主病 |
Research Abstract |
同種造血幹細胞移植は、化学療法などの通常の治療で治癒が得られない難治性悪性血液疾患を治せる唯一の治療である。ヒト白血球抗原半合致ドナーからの移植の安全性が確立すれば、移植においてドナーの問題が解消する。厚生労働省の班研究として臨床研究を進め、2009年度は、第II相試験を遂行した。ヒト白血球抗原半半合致移植の臨床研究の成果は、ウイーンで開催された第36回ヨーロッパ造血幹細胞移植学会で発表した。マウスの移植の系において、2種類の主要組織適合抗原半合致移植のモデル(ヘテロからヘテロへ移植するモデルとホモからヘテロへ移植するモデル)を作成した。両者の移植モデルの比較解析の結果、ヘテロからヘテロの系で、移植片対宿主病が軽くなる一方、移植片対白血病効果が高くなるという結果を得た。その機序を解析した結果、レシピエント由来のナチュラルキラー細胞やT細胞が、移植後のマウスの脾臓に大量に動員され、インターフェロンガンマを産生することによって、上記のような結果がもたらされることが明らかになった。この系において、インターフェロンガンマは、移植片対宿主病に対して抑制的に作用する。腸管移植片対宿主病の制御を目的としたベクロメサゾン(局所作用型ステロイド剤)の臨床研究を行い、現在までのところ、期待した効果が得られつつある。さらに、完成した移植片対宿主病を再移植によって治そうずる治療法に関して、我々は、マウスの移植の系で、第3のマウスから再移植することで、重症GVHDを惹起しているドナーリンパ球を駆逐し、移植片対宿主病を救済できることを証明している。この結果を受けて、臨床試験を行った結果、この再移植療法は、極めて有効性が高いことが判明した。マウスの移植実験と同様に、再移植ドナーの移植片の生着が得られなければ、十分な抗移植片対宿主病効果が得られないということを確認した。現在、論文執筆を行っている。
|
Research Products
(22 results)