2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591313
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤井 克則 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70344992)
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Keywords | ゲノム / 遺伝学 / 遺伝子 / 癌 / 放射線 |
Research Abstract |
PTCH遺伝子は細胞の増殖シグナルに関わる遺伝子であり、その変異は神経皮膚症候群であるGorlin症候群(以下GS)を発症させる。我々はGorlin症候群患者の皮膚に放射線を照射すると基底細胞癌が発症することに着目し、GS由来細胞(皮膚線維芽細胞およびリンパ芽球細胞)を用いて放射線照射実験を行った。細胞はすでに変異を報告している患者由来細胞(del 915 C)を同意を得て使用した。PTCHの免疫染色については内因性PTCHがかなり少なく、通常のPTCHポリクローナル抗体では染色精度が低かった。現在複数の各社抗体を比較使用し実験条件を変更して染色を試みている。 1) 放射線照射によるPTCHタンパクの細胞内局在性の変化の観察 患者由来リンパ芽球細胞ないし皮膚線維芽細胞に対して放射線を照射し、共焦点レーザー顕微鏡を用いてPTCHタンパクの細胞内局在を観察した。PTCHタンパクがX線照射(量)ならびに照射後の時間経過によりその分布が変化するかどうかを観察したが、染色精度が低く明らかな局在の変化は認めなかった。また細胞周期をコントロールするp21, p27, p53, Rbの発現を調べ、コントロールに比較してp27の発現低下を認めた。現在細胞周期解析を行い、本症候群患者で細胞周期異常(G2/M population増加)の誘発が認められるかどうか実験中である。 2) 腫瘍組織におけるPTCH遺伝子変異およびタンパク相互作用への影響の有無 Gorlin症候群における主要組織におけるPTCH遺伝子変異とその腫瘍病型について解析を行っているが現在までに表現型と遺伝型の関連は認めていない。PTCH遺伝子は癌抑制遺伝子に分類されており、Knudsonのtwo hit theoryの妥当性について現在検討中である。PTCH遺伝子が果たす役割を今後も調査してゆく。 3) 内因性ヘッジホッグタンパクの検出:ヒト皮膚線維芽細胞におけるヘッジホッグシグナルを構成する分子のRT-PCRを行い、ヘッジホッグタンパクが線維芽細胞内に発現していることを確認した。現在培養液中にヘッジホッグタンパクを加えることでシグナルの変化の有無について調査中である。
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Research Products
(7 results)