2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性・炎症性角化症に対するカンナビノイド作動薬による治療の確立
Project/Area Number |
21591462
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 健造 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (80291425)
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Keywords | ダリエー病 / ヘイリー・ヘイリー病 / SERCA2 / ハプロインサフィシエンシー / 優性遺伝 / 尋常性乾癬 / カンナビノイド / バニロイド |
Research Abstract |
我々はカンナビノイドとバニロイド作動薬が、表皮角化細胞に対し各々直接SERCA2遺伝子の発現を亢進し、特にカンナビノイドはダリエー病モデルの移植皮膚に対して顆粒層の回復までももたらす治療効果があることをより詳細な移植モデル、3次元モデル構築等を用いて病理学的に明らかにした。 患者皮膚からの培養細胞に対しsiRNA法により各受容体の発現を抑制した状態での薬剤の効果や、選択的な阻害薬を使用することで、2つの作動薬は表皮角化細胞に発現する各々CB2, TRPV3/4受容体を介して独立した機序でSERCA2の亢進をもたらすことを明らかにし、より選択的な薬剤の選択を可能とした。温熱感受性受容体によるSERCA2蛋白の発現の変化は、ダリエー病が脂漏部位に夏期に悪化することを考えると病態論的にも興味深い。 さらにカンナビノイド作動薬においては、SERCA2の発現亢進により細胞内カルシウム濃度を安定化し、角化の亢進を平穏化する効果のみならず、角化細胞の細胞増殖の抑制効果も有すことを新たに確認した。そこで異常角化の亢進と基底細胞の増殖亢進を病態とする尋常性乾癬に対する効果を期待すべく、そのモデル動物として入手が可能であるスタンフォード大学で作製されたK14-Raf/Tamマウスを、その作成者である高知大学皮膚科の樽谷准教授より供与頂きその効果を確認した。カンナビノイド作動薬を1-2週の間、連日外用することで、コントロールである溶媒のDMSOに比較して、著明に過角化や炎症細胞浸潤の抑制効果があることを病理学的に確認できた。
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Research Products
(5 results)