2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚侵襲シグナルに対する恒常性維持に関わる新規調節分子の動態解析
Project/Area Number |
21591464
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片山 一朗 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80191980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 正浩 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90314335)
室田 浩之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90363499)
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Keywords | 皮膚生理学 / 11βHSD1と皮膚の恒常性 / グルココルチコイド / アレルギー / 発ガン |
Research Abstract |
本年度は11βHSD-1の皮膚の恒常性の中でも主に、増殖における11βHSD-1の役割について検討した。ヒト表皮角化細胞や線維芽細胞の増殖能を特異的11βHSD-1阻害薬を用いて測定したところ、低濃度では増殖を促進させる一方、高濃度では生存率を低下させた。この結果から11βHSD-1は発現量によって作用が異なる可能性が示唆された。次に、潰瘍辺縁上皮などの増殖状態にある表皮での11βHSD-1発現を免疫組織学的に評価したところ、増殖状態にある表皮では116HSD-1発現が低下しており、生体内には生理的に11βHSD-1を低下させ増殖に向かわせる機構が存在している可能性が示唆された。さらに生体内での11βHSD-1の役割を確認するために、ヘアレスマウス皮膚に特異的11βHSD-1阻害薬の外用を行い、組織学的に評価したところ、表皮が肥厚し増殖期にある細胞の割合が増加した。また、マウス背部に15mm大の創傷を作製し、特異的11βHSD-1阻害薬の投与を行ったところ、創傷治癒が著明に亢進した。さらに創傷治癒遅延モデルとして用いられるob/obマウスで同様の実験を行っても、創傷治癒が著明に亢進した。 以上の結果より11βHSD-1は表皮角化細胞やの生存に必須の因子であり、また、これらの細胞増殖の調節因子として働いていることが考えられた。11βHSD-1は難治潰瘍の治療薬のみたらず、増殖異常を引き起こす種々の皮膚疾患の治療標的となりうる可能性があると思われた。
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