2010 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の痒みの発生機序の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
21591468
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
竹中 基 長崎大学, 病院, 講師 (30281207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAE Sangjae 長崎大学, 病院, 医員 (90325647)
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 神経ペプチド / サブスタンスP / neutral endopeptidase |
Research Abstract |
ストレスが皮膚免疫系に与える影響について、接触皮膚炎モデルを用いて検討した。接触皮膚炎は、Oxazoloneで感作したマウスで惹起させた。マウスは、400Hzの騒音と25秒間につき2秒の振動によるストレスに、晒されない群(control)、誘発期間のみ(single stress)晒される群、感作期間と誘発期間(double stress)に晒される群の3群に分け検討した。誘発後のマウスの耳介は、control群に比べ、single stress群、double stress群の順に有意な差をもって腫脹していた。局所におけるmRNAの発現をみたところ、サブスタンスPの前駆物質であるpreprotachykinin-A、IFN-γ、IL-4、IL-6、TNF-αいずれもdouble stress群でcontrol群に比べ有意に発現しており、ストレスは接触過敏性を増強することが示唆された。これらの現象はL-selectin欠損マウスでは有意な差をもって抑制されたが、P-selectinやE-selectin欠損マウスでは抑制されなかった。また、サブスタンスPのレセプターであるneurokinin 1 receptorの抗体を誘発前に投与することにより、同様に有意に抑制された。このことから、ストレスによる接触過敏性の増強はL-selectinを介しており、サブスタンスPにより、L-selectinが影響を受けている可能性が示唆された。アトピー性皮膚炎がストレスにより増悪することはよく知られているが、その機序にL-selectinが関与していることが考えられ、サブスタンスPも掻痒の惹起のみならず、他の機序を介してアトピー性皮膚炎の増悪に関与している可能性も示唆された。
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