2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
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Keywords | 皮膚免疫学 |
Research Abstract |
本研究の目的は細胞接着分子であるE-selectin,P-selectin、PSGL-1の創傷治癒過程における役割を明らかにすることである。本年度は、PSGL-1ノックアウト(PSGL-1-/-)マウス、P-selectin-/-マウス、E-selectin-/-マウスの創傷治癒過程における炎症細胞浸潤についてさらに詳細に解析した。創部における1時間後の好中球浸潤は創傷治癒遅延の認められなかったE-selectin-/-マウスでは野生型マウスと有意差はなかったが、創傷治癒遅延が認められたP-selectin-/_マウスでは有意に減少していた。さらにP-selectin-/-マウスより肉芽組織の形成が障害されていたPSGL-1-/-マウスやP-selectin-/-マウスに抗E-selectin抗体を投与したマウスでは、P-selectin-/-マウスと比較してさらに好中球浸潤が減少していた。4時間後の好中球浸潤でも同様の傾向が見られた。さらに、受傷3日後のマクロファージ浸潤でも同様の結果が得られたが、受傷7日後には、各変異マウスと野生型マウスとの間の有意差は全く認められなくなった。従って、受傷早期のマクロファージの浸潤数が創傷治癒遅延とより強く相関している可能性が示唆された。受傷3日後の肥満細胞浸潤については、野生型マウスに比べて、P-selectin-/-マウス、PSGL-1-/-マウス、P-selectin-/-マウスに抗E-selectin抗体を投与したマウス全て有意に肥満細胞浸潤の減少を認めたが、この3種類の間に有意差は見られなかった。受傷7日後の肥満細胞浸潤については、ほぼ同様の結果であったが、野生型マウスとP-selectin-/-マウスとの間の有意差は消失した。以上より各変異マウスにおける創傷治癒遅延は、好中球、マクロファージ、肥満細胞の浸潤と概して相関が認められた。
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