2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能障害とQOLに着目した統合失調症の臨床的および脳科学的研究
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21591520
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大森 哲郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00221135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住谷 さつき 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90346594)
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能 / QOL / 脳画像 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
統合失調症患者では、患者の生活技能とQuality of Life (QOL)の向上が治療目標となる。一方、統合失調症は複数の領域にわたる認知機能障害を有しでおり、それが精神症状よりも社会的予後に強く影響するとも言われている。我々はBrief Assessment of Cognition of Schizophrenia (BACS)を用いて認知機能を評価し、それとQOLとの関連を検討してきたが、平成23年度はより包括的なテストバッテリーであるMeasurement and Treatment Research to Improve Cognition in Schizophrenia (MATRICS) Consensus Cognitive Battery日本語版(MCCB-J)を用いて、外来通院中の統合失調症患者の認知機能を測定し、各種臨床要因との関連を検討した。今年度は特に認知機能とLife skills profile (LSP)で評価した生活技能との関連を検討した。日常生活の基本となる技能を評価する尺度であり、家族に依頼しそ測定した。本人および家族の同意を得て施行した。その結果、認知機能の下位検査のうち「BACS符号課題」とLSPの「総スコア」「身辺整理」「交際」「会話」「責任」及び「Trail Making Test (TMT) Part A」とLSPの「交際」「責任」に有意な相関が認めちれた。以上の結果を、昨年と一昨年の結果を勘案してまとめると、統合失調症の認知機能障害は、症状においては陰性症状、錐体外路症状と関連しており、QOLにおいては、主観的QOLに比べて客観的QOLが認知機能との関連が強く、特に「注意と処理速度」の認知的側面の影響が大きい事が判明した。また生活技能は認知機能領域のうち「処理速度」と関連していることが明らかとなった。 平行して勧めている画像研究では、脳形態のみでなくグルタミン酸濃度やGABA濃度も測定しており、これらと認知機能との関連の検討をするために対象例数を増やしている。分子遺伝学的検討も症例数の増加を待って行う。
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Research Products
(9 results)