2011 Fiscal Year Annual Research Report
単色放射光を用いた肝血流イメージングによる局所肝血流の3次元的微細動態の解析
Project/Area Number |
21591583
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
伊東 克能 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00274168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 勉 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40278932)
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Keywords | 単色放射光 / 肝血流 / イメージング / 門脈血流 |
Research Abstract |
前年度から継続して肝血流の3次元的微細動態の解析を行い、末梢肝実質レベルでの門脈閉塞に伴う動脈・門脈の吻合状態の変化や血管増生の程度の評価を試みた。これは臨床例でしばしば経験される造影ダイナミックCTやMRIの動脈優位相で観察される早期濃染偽病変の成因解明の一助になると考えられる。一方で、これまでの経験から肝実質の炎症性変化や線維化の進行に伴い、血行動態の変化だけでなく、肝細胞機能にも変化を生じていることが推測されたため、肝細胞特異性MRI造影剤であるGd-EOB-DTPAをラットに投与し、Gd-EOB-DTPAの肝内分布の観察も行った。これは肝細胞膜での膜蛋白(トランスポーター)による能動輸送により、Gd-EOB-DTPAが肝細胞内に取り込まれていく過程で、肝実質内にどのように分布するのか、類洞や間質などの血管外腔への分布はどの程度あるのか、血流動態や血管新生や血管分布との関連性があるのか、肝線維化の程度と関連があるのかなどを含めて、肝細胞機能と微細肝動脈門脈血流動態との相互関係についても解明していくことが目的であるが、今年度の研究過程で、正常肝細胞質への優位な取り込みが認められた。また肝線維化モデルラットを使った実験では、肝線維化の進行に伴い、肝細胞実質への取り込み分布が低下することが確認された。またGd-EOB-DTPAは肝細胞内に取り込まれた後、約50%が胆道系を介して胆汁中に排泄されるが、肝細胞内にどの程度、蓄積されるか解明されていないため、その安全性を確認する意味でもラットモデルを応用し、高感度蛍光X線分析を用いて肝内のガドリニウム分布の可視化を行った。その結果、腎不全モデルラットにおいて、Gd-EOB-DTPA投与後の肝内ガドリニウム蓄積は微量であることがわかった。一方で、肝腎不全モデルラットにおいては、Gd-EOB-DTPA投与後の肝内ガドリニウム蓄積は増加しており、胆道排泄と腎排泄の2経路を有するGd-EOB-DTPAでも肝腎不全では排泄遅延や障害が生じることが示された。
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Research Products
(4 results)