2009 Fiscal Year Annual Research Report
トリプルネガティブ乳癌におけるユビキチンリガーゼによる細胞周期制御機構の解明
Project/Area Number |
21591671
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 豊 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 助教 (20398217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 弘敬 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40211065)
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Keywords | 乳癌 / ユビキチンリガーゼ / トリプルネガティブ乳癌 / Fbw7 / Skp2 / 予後因子 / 細胞周期 |
Research Abstract |
本研究では、トリプルネガティブ(TN)乳癌におけるユビキチンリガーゼによる細胞周期制御機構を解明するために、乳癌細胞株を用いてユビキチンリガーゼ(Skp2, Fbw7)の発現と細胞周期との関連や薬剤感受性、治療標的の可能性について検討することを目的としている。Skp2はCDK inhibitorであるp27のユビキチン化による分解に関与しており、細胞周期を促進するように働く。一方、Fbw7はリン酸化されたc-MycやcyclineEをユビキチン化する。Fbw7は細胞周期に対し抑制的に作用する。細胞周期のre-entryに関与する2つのユビキチンリガーゼの乳癌での発現とその臨床的意義および薬剤感受性や治療標的の可能性を検討する予定である。21年度は標準治療がなされた乳癌患者の原発組織を用いてFbw7のmRNA発現をreal-time RT-PCR法で解析を行った。原発組織におけるFbw7発現状態と臨床病理学的因子との関連では、Fbw7発現が低下すると核異型度が高くなり、ER陰性、PgR陰性が有意に高率であった。さらに、Fbw7はKi-67 labeling indexと正の相関関係を認めた。HER2の発現状況とFbw7発現との間に有意差はなかった。さらに、Fbw7は独立した予後因子であった。また、Fbw7により発現調節されるc-MycやCycline Eの発現状況を免疫組織化学法により解析した。Fbw7mRNAが低発現であると、Cycline Eは過剰発現していた。c-Mycとの関係は免疫組織化学上見出すことができなかった。Fbw7発現はホルモン受容体陰性乳癌で低下しており、細胞周期関連蛋白の発現増強と関連を認めた。また、Fbw7は予後因子の一つである可能性が示唆された。今後は細胞株を用いて、Fbw7の発現調整を行い、細胞周期関連蛋白の変化や細胞周期の変化ならびに薬剤感受性について検討する。さらにSkp2についても同様の解析を行う予定である。
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