2010 Fiscal Year Annual Research Report
トリプルネガティブ乳癌におけるユビキチンリガーゼによる細胞周期制御機構の解明
Project/Area Number |
21591671
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 豊 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (20398217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 弘敬 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40211065)
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Keywords | 乳癌 / ユビキチンリガーゼ / トリプルネガティブ乳癌 / Fbw7 / Skp2 / 予後因子 / 細胞周期 |
Research Abstract |
本研究では、トリプルネガティブ(TN)乳癌におけるユビキチンリガーゼによる細胞周期制御機構を解明するために、乳癌細胞株を用いてユビキチンリガーゼ(Skp2,Fbw7)の発現と細胞周期との関連や薬剤感受性、治療標的の可能性について検討することを目的としている。Skp2はCDK inhibitorであるp27のユビキチン化による分解に関与しており、細胞周期を促進するように働く。一方、Fbw7はリン酸化されたc-Mycやcycline Eをユビキチン化する。Fbw7は細胞周期に対し抑制的に作用する。細胞周期のre-entryに関与する2つのユビキチンリガーゼの乳癌での発現とその臨床的意義および薬剤感受性や治療標的の可能性を検討する予定である。21年度は標準治療がなされた乳癌患者183例の原発組織を用いてskp2,fbxw7発現をreal-time RT-PCR法で解析した。IHC法でskp2,fbxw7,p27,c-Myc,cyclinE,Ki67の発現を検討した。高グレード、triple negativeでは有意にskp2 mRNA高発現,fbxw7 mRNA低発現であり、この発現パターンはRFS,BCSSにおいて独立した予後因子として規定された。IHCにおいてもskp2高発現,fbxw7低発現のパターンを示す症例ではRFS, BCSSにおいて予後不良であった。いずれの検出法においてもskp2高発現,fbxw7低発現の症例ではKi67 labeling indexが有意に高値であった。またp27とskp2,skp2およびfbxw7とcyclinEの発現は逆相関を示し、この発現パターンと標的蛋白の分解不全による蓄積との関連が示唆された。skp2高発現,fbxw7低発現の症例ではG0-G1-S期に関わる標的蛋白の蓄積を招き、エントリー抑制、リエントリー促進により細胞増殖活性が高くなることが予後との相関の一因と考えられた。23年度は細胞株を用いてskp2とfbxw7を調節することにより腫瘍増殖や進展への影響を検討し、治療標的としての可能性を検討する予定である。
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