2009 Fiscal Year Annual Research Report
ABCC11遺伝子多型解析による乳癌罹患リスクと予後規定因子の検討
Project/Area Number |
21591673
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
千島 隆司 Yokohama City University, 附属病院, 准教授 (70438141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 孝 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 准教授 (80275049)
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Keywords | 耳垢型 / 乳癌 / ABCC11 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
【研究の背景、目的】 ABCC11はATP Binding Cassetteトランスポータースーパーファミリーの1種で、詳細なメカニズムに関してはまだ解明されていない。 2006年1月のNatureにこのABCC11の1か所(cDNA 538G)に遺伝子多型がおこると耳垢型が、湿性から乾性になることが報告された。1971年7月のScienceでは耳垢が湿性タイプだと乳癌の予後が悪く、欧米では9割が湿性でアジアでは逆に多くは乾性のため乳癌の死亡率に差が出ているのではないかという報告がされていた。そこで乾性タイプが約8割を占める日本において、乳癌患者と、コントロールのABCC11の遣伝子多型を理研で開発されたSMAP法で解析し、各群の湿性、乾性の割合を出し、罹患率に有意差が出るか、また患者群において湿性と乾性で予後に有意差が出るかを検討した。 【研究結果】 当院の日本人女性乳癌患者270名とコントロールの日本人女性273名から同意を得て採血し、遺伝子解析した。患者ではABCC11湿性型が24.8%、乾型75.2%、コントロールは湿性型が16.8%、乾型83.2%であり、p=0.026、 Odds比は1.63倍と有意差を認めた。患者群における臨床病理学的因子の検討を行ったが、湿性型と乾性型とで有意差は認められなかった。 【今後の計画】現時点の研究結果で、湿性型は乾型に比し、乳癌罹患のリスクが高いため、遺伝子多型解析による乳癌早期発見に有用な可能性がある。また、ABCC11は薬剤耐性の原因になると考えられており、現在5-FUに対する耐性ができることが報告されている。今後抗がん剤治療を行った患者の手術検体をABCC11抗体で免疫染色し、抗がん剤治療効果と免疫染色の結果が相関するかを検討し、乳癌に対する新たな治療法の可能性を調査していく。
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Research Products
(1 results)