2009 Fiscal Year Annual Research Report
消化管間質腫瘍(GIST)におけるKITキナーゼ耐性クローンの多様性に関する研究
Project/Area Number |
21591694
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神田 達夫 Niigata University, 医歯学系, 講師 (80303147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
味岡 洋一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80222610)
廣田 誠一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50218856)
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Keywords | 消化管間質腫瘍(GIST) / イマチニブ / 薬剤耐性腫瘍 / 組織学的多様性 / KIT遺伝子変異 / ダイレクトシークエンス法 |
Research Abstract |
消化管間質腫瘍(GIST)に対する分子標的薬イマチニブ治療において、長期投与患者に薬剤の効果がなくなる二次耐性腫瘍が出現することが問題となっている。イマチニブの標的であるKIT蛋白をコードする遺伝子(KIT遺伝子)の突然変異が、薬剤抵抗性の主な原因と考えられているが、実際に腫瘍内部でどのような経時的変化がおこるのかは不明である。腫瘍内部の変化を推定しうる手段として、外科切除された二次耐性腫瘍を組織学的・遺伝子学的に詳細に分析することが重要である。 これまでに新潟大学医歯学総合病院で外科切除されたイマチニブ二次耐性腫瘍27病変を対象とし、まず病理組織学的検討を行った。その際に腫瘍内に異なる組織学的性質もつ領域が存在するか否かについて特に注目した。GISTおよび筋系・神経系細胞に対する免疫染色も行い、各腫瘍の組織学的特徴を検討した結果、全27腫瘍中20腫瘍(74.1%)において腫瘍内に複数の領域が認められた。それぞれの領域ごとに細胞増殖活性や細胞密度等を計測した。次に遺伝子変異の有無を領域毎に調べるため、パラフィン包埋標本よりDNA採取用の切片を作成し、顕微鏡下に各領域の腫瘍細胞を別々に採取して、そこからDNAを抽出しPCR法でKIT遺伝子を増幅した。増幅されたKIT遺伝子をダイレクト・シークエンス法で分析し、腫瘍内の遺伝子変異の有無、腫瘍内での均一性の有無、組織学的領域との対応関係について検討を行っている。現在、シークエンスを行っている段階である。 本研究により、二次耐性腫瘍内における分子生物学的な多様性の存在が証明されれば、分子標的治療薬の投与下という特別な環境において、二次耐性腫瘍内では薬剤耐性の遺伝子変異をもつ腫瘍細胞が同時性に複数増殖していると考えられ、耐性腫瘍発現におけるメカニズム解明に大きく貢献する知見となる。
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Research Products
(2 results)