2011 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌腹膜播種性転移細胞の特性とその抗癌剤に対する感受性・耐性関連因子の検討
Project/Area Number |
21591713
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10208613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉持 英和 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30287362)
上小鶴 弘孝 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40328430)
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Keywords | 消化器癌 / 腹膜播種 / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
胃癌の培養細胞株を用いて、Osteopontin(OPN)をsiRNA法により特異的にノックダウンした条件下で抗癌剤曝露し薬剤感受性試験を行うことで、OPNが細胞増殖能および抗癌剤耐性に与える影響について検討する計画であったが、胃癌細胞株でのノックダウンがうまくいかなかったため、研究対象を同じ消化器癌である大腸癌に拡げ、大腸癌の細胞株を用いて行った。暴露抗癌剤としてDocetaxelを使用した際、OPNをノックダウンした細胞株とコントロールの細胞とを比較するも細胞生存率には差が見られなかった。しかし、5FUを暴露した場合には、コントロールの細胞と比較してノックダウンした細胞で5FUの効果が弱まっており、5FU耐性を持つことがわかった。今後、この現象が関連する下流遺伝子の発現状態などを解析していく予定である。また、実際に臨床サンプルでのOPN遺伝子発現量と5FU系抗癌剤の効果との相関も同時に検討していく。 これに関連した研究として、大腸癌同時性肝転移症例88例におけるOPNの発現の検討で、原発巣と転移巣で比較すると有意に(P<0.0001)転移巣のOPN発現量が高かった。また、転移巣のOPN発現量が高い症例は低い症例と比較して有意に(P=0.0155)生存期間が延長していた。これらの結果から、大腸癌におけるOPN発現は転移巣形成若しくはその維持に関わっている可能性が、また、患者の予後に影響することが示唆された。これらの症例のOPN発現量と5FU系抗癌剤の効果についても今後検討して区予定であり、これらのデータ集積し解析を行う。得られた成果は学会発表もしくは英字論文にして公開していく。
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