2010 Fiscal Year Annual Research Report
サブスタンスPの分泌制御による食道癌術後の誤嚥性肺炎の予防と嚥下機能改善
Project/Area Number |
21591716
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
安田 卓司 近畿大学, 医学部, 准教授 (10324782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 均 近畿大学, 医学部, 教授 (70144475)
今本 治彦 近畿大学, 医学部, 准教授 (80351609)
今野 元博 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (00278681)
新海 政幸 近畿大学, 医学部, 講師 (80340793)
彭 英峰 近畿大学, 医学部, 講師 (20411605)
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Keywords | 食道癌 / サブスタンスP / 誤嚥 / 誤嚥性肺炎 / 外層反射 |
Research Abstract |
【背景】高齢者が多く、侵襲度の高い食道癌術後の誤嚥性肺炎は最も危険な合併症である。高齢者の誤嚥はサブスタンスP(SP)の分泌低下による咳嗽反射低下がその要因とされている。【目的】昨年度に続き、食道癌術後における誤嚥に関するサブスタンスPの関与について検討する。【方法】食道癌手術33症例で、術前,術後2および7日目(POD2&7)に血中SP濃度測定,咳喉反射検査を行い,誤嚥/肺炎の発症との関連を検討した。【結果】男性25例,女性8例。平均年齢63.9歳。占居部位は胸部上部/中部/下部:4例/18例/11例であった。術前治療は6例で化学療法,3例で放射線化学療法が行われた。術式は右小開胸食道亜全摘胸骨後胃管再建が29例,皮下有茎空腸再建が1例,経裂孔食道切除後縦隔胃管再建が1例,2期分割手術が2例に行われた。リンパ節郭清は2領域21例,3領域12例であった。 血中SP濃度は術前と比較しPOD2に65.5%(19/29例)で濃度減少を認めた。誤嚥群7例と非誤嚥群26例に分けて比較すると、咳嗽反射閾値は術前と比較しPOD2に84%(21/25例)で閾値上昇を認めたが、有意な差は認めなかった(p=0.937, Repeated measure ANOVA)。一方、血中SP濃度を比較すると,誤嚥群では有意に低値を示し(p=0.032, Repeated measure ANOVA)、かつ術前から低値を持続していた。両群を比較して誤嚥に対するリスクファクターを検討したが,術前血中SP濃度60pg/ml以下が,最も有意なリスクファクターと考えられた。【考察】食道癌術後POD2には血中SP濃度が低下し,咳喉反射閾値が上昇することで誤嚥のリスクが高くなる。しかし,誤嚥(肺炎)の発症と最も関連があるのは術前より血中SP濃度低値を呈している症例で、術前に血中SP濃度を測定することで術後誤嚥発症のHigh risk患者を予測することできる可能性が示唆された。【結語】術前血中SP濃度低値は術後の誤嚥性肺炎発症と関連していると考えられた。
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Research Products
(3 results)