2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生阻害によって惹起される放射線感受性増強のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
21591726
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西岡 将規 徳島大学, 病院, 助教 (50398020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 信浩 徳島大学, 病院, 特任教授 (30335814)
岩田 貴 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00380022)
吉川 幸造 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80448331)
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Keywords | 癌 / 放射線 / 血管新生 / 放射線増感剤 / 低酸素 / HIF-1 / Oridonin / TPI (Thymidine phosphorylase inhibitor) |
Research Abstract |
[目的・背景]血管新生阻害によって惹起される放射線感受性増強のメカニズムを解明し、hypoxia状態での癌治療成績向上を目指し、新たな放射線増感剤を開発することが目的である。 [材料・方法]TPI(Thymidine phosphorylase inhibitor)、Oridoninに関して、大腸癌細胞株を用いてIn vitro、In vivoで放射線増感作用を確認した後に、直腸癌同所性モデルでDNAマイクロアレイを用いて、血管新生阻害、低酸素、細胞周期、細胞死関連遺伝子およびタンパクについて包括的に解析する。同定した遺伝子、タンパクはPCR法、Western blot法、免役組織染色法で確認する。 [研究成果] ・TPI (Thymidine phosphorylase inhibitor)について In vivoではTPI+RT(放射線)群はRT単独群と比して有意に腫瘍増殖を抑制し、TPIの抗腫瘍効果を確認するとともに下痢や体重減少などの有害事象は認めなかった。TPI+RT群は無治療群と比してVEGF、TGFβ、Rad51 mRNAsの発現が有意に抑制されていることを確認したが、HIF-1α、Angiopoietin1、CD44の血管新生に関与するmRNAの発現に有意差は認めなかった。さらに、TPI+RT群は無治療群、TPI単独群、RT単独群と比して抗VEGF抗体、抗CD34抗体による免疫染色でタンパク発現が有意に抑制され、また、TUNEL染色陽性細胞の発現が有意に増加していた。TPIは血管新生阻害作用だけでなくDNA修復を阻害してアポトーシメによって放射線の効果を増強させることを確認した。 ・Oridoninについて In vitroでは放射線併用により細胞増殖抑制効果が増大することを確認した。作用に関しては放射線との併用でOridoninによるautophagy効果は消失し、むしろapoptosisの効果が強くなり、血管新生阻害に関してはHIF1αの発現を抑制することを確認した。In vivoでは放射線との併用でXenograftの体積はRT単独に比べ有意に抑制され、その抗腫瘍効果はautophagyの増大でなく、apoptosisによることを確認した。メカニズムに関しては、OridoninがHIF1α、VEGF、Ahg-2 mRNAを抑制することを確認し、免疫染色でKi-67細胞が減少すること、Micro vessel densityを低下させることを確認した。 [まとめ]TPI、Oridoninともに血管新生阻害作用、放射線増感作用を有することを確認した。今後、血管新生阻害と放射線増感との関係について、さらにメカニズム解明を行う予定である。
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Research Products
(4 results)