2010 Fiscal Year Annual Research Report
予後不良がんの予知と克服を目指したオーロラ関連分子の細胞内ダイナミクス研究
Project/Area Number |
21591730
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
達家 雅明 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50216991)
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Keywords | オーロラキナーゼ / 染色体パッセンジャー / サバイビン / IAPファミリー / がん分子診断 / 抗がん分子標的治療 / 染色体分配 / アポトーシス |
Research Abstract |
予後不良がんの予知と克服を目指したオーロラ関連分子の細胞内ダイナミクスを解明するために、本年度は次の実験をおこなった。 (1) ヒト大腸がん組織サンプルを用いた発現分布と予後不良との「相関関係」を明らかにするために、外科手術時に得られる組織よりがん部分と周辺正常部分を分離し、それぞれ、病理組織切片を作成後、病理免疫組織染色により解析をおこなった結果こオーロラ関連分子の中で、baculoviral IAP repeat-containing 5 (BIRC5)/apoptosis inhibitor 4/survivinが正常組織と較べて大腸癌組織での高い発現が最も広く認められ、細胞質にsurvivin陽性を認める症例において予後不良との相関があることがわかった。また、外科手術直後に得た非固定非凍結サンプルから細胞質可溶性画分、細胞核可溶性画分、そして不溶性画分(細胞質と細胞核の骨格構造構成蛋白質)の蛋白質を分画抽出し、細胞蛋白質分画後の免疫ブロットをおこなったところ、界面活性剤不溶性画分に加えて、界面活性剤可溶性細胞質画分ならびに核画分に検出される症例があった。これら界面活性剤可溶性画分でのsurvivin陽性症例ほリンパ節転移の症例であり、今後、症例数を増やして統計処理をおこなう予定である。 (2) 非転移性の培養細胞をモデルに、EGFP標識したオーロラ関連分子を発現させ、その蛋白質細胞内ダイナミクスを解析した結果、EGFP-survivinを発現させた場合に、アノイキス(接着細胞の接着離脱時に起こるアポトーシスの一形態)に抵抗性となることがわかった。すなわち、survivinはがん転移過程での転移成立に大きな生物学的な障壁のひとつであるアノイキスを克服させてしまうことが示唆された。この時、EGFP-survivinは界面活性剤可溶性画分に分画される。一方、survivinの抗アポトーシスのシグナルを仲介する分子と目されているX-linked inhibitor of apoptosis protein (XIAP)も界面活性剤可溶性画分に分画されてEGFP-survivinとの細胞内での結合が免疫沈降実験で確かめられた。また、一方、EGFP-survivinによるアノイキス抑制過程でc-jun N-terminal Kinase (JNK)シグナルが抑制されており、XIAPを介したnuclear factor-kappa B (NF-κB)抑制の結果JNK経路が抑制されることによってアノイキス抑制が起こると推察された。
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Research Products
(15 results)