2009 Fiscal Year Annual Research Report
移植肝におけるC型肝炎ウイルス感染の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
21591752
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
池上 徹 Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center, 臨床研究部・統括診療部, 医師 (80432938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武冨 紹信 九州大学, 大学病院, 助教 (70363364)
副島 雄二 九州大学, 大学病院, 助教 (30325526)
杉町 圭史 九州大学, 大学病院, 特別教員 (90452763)
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Keywords | 移植再生医療 / ウイルス / 外科 / 臨床 |
Research Abstract |
(1)肝移植時のHCV遺伝子多型に関する経時的検討。HCVはゲノムの更正機構を持たず、その配列のなかに非常にmutationの多い領域を有する。すなわちE2領域内のHVR-1を用いてSSCP法を用いて多型解析を行った。その結果、HCVは移植前から多数のspeciesとして存在していたが、再環流6時間後に最も遺伝子型が集約されていた。更にdirect sequence法では、再環流後6時間後にはHCVの遺伝子多型は1つに集約されていた。すなわち、新グラフト移植後6時間を目安にしたHCVに対する治療が、HCVのescape機構を効果的に排除した状態での治療となることが示唆された。Pre-emprtive治療の有効性を示唆する結果であった。(2)肝外HCV複製の影響に関する検討:肝および血性HCV遺伝子比較。HCVRNAが最低値に近くなる再環流後6時間の時点でもHCVRNA量は少量ではあるが存在した。SSCPにて検索した結果、移植前と移植後で大きくconsensusが変化した。以上より移植後初感染においては肝外HCV replicationが移植後Dominancyになりうる可能性が示唆された。(3)C型肝硬変に対する肝移植術後インターフェロン(IFN)治療効果予測に関する研究。肝移植後HCV再発に対しIFN治療を48週以上施行し得た症例を対象とした。Direct sequenceにて、Core領域に関してはアミノ酸(aa)70/91の変異の有無を検討し、NS5A領域に関してはISDR(aa2209-2248)およびIRRDR(aa2334-2379)のそれぞれの変異数を検討、VR(viral response)率およびSVR(sustained viral response)率との比較を行った。結果は、コア領域のaa70および91のDouble wildで有意にSVR達成率が高率(65% vs.33%)、ISDR変異数〓2、IRRDR変異数〓6の症例は、それぞれの変異数が少ないものに比し、SVR率が高率であった(67% vs.37%、78% vs.28%)。すなわち、移植後IFN感受性は、HCVの遺伝子型により大きく影響されていた。
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Research Products
(5 results)