2009 Fiscal Year Annual Research Report
組織誘導再生法を応用した難治性脊椎感染症に対する新しい治療法の開発
Project/Area Number |
21591889
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊東 学 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 准教授 (00271677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
放生 憲博 北海道大学, 大学病院, 助教 (60451423)
赤澤 敏之 北海道立工業試験場, 材料技術部・材料化学科, 科長 (80469692)
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Keywords | 整形外科 / 脊椎感染症 / 組織誘導再生 |
Research Abstract |
難治性感染症等の治療に有効な生体材料開発の基礎を構築するため、本年は脊椎感染症を制御する抗生物質ならびに骨新生を促進する骨形成因子(rhBMP-2)を吸着・徐放するリン酸カルシウム系セラミックスを作製し、組織誘導再生に及ぼす固液界面機能の影響を評価した。まず、抗生物質や骨誘導因子のキャリアーとなるリン酸カルシウム系セラミックスの表面改質と機能設計を超音波や攪拌溶解析出法を用いて行った。市販多孔性リン酸カルシウム系セラミックスを部分溶解後、ナノ結晶を再析出・複合化したセラミックスを作製し、その物理化学的特性を評価した。その結果、部分溶解と超音波溶解の調整により、セラミックスのキャリアーとして有効なマクロ・ミクロ細孔やマイクロクラックを作製できることが判明した。次に、リン酸カルシウム系セラミックスを用いたrhBMP-2用量依存性骨誘導に関する実験を、部分溶解析出法により作製した生体模倣セラミックスを用いて、骨形成蛋白質の用量依存性を調べ、その徐放性と骨誘導の関係を評価した。その結果、市販リン酸カルシウム系セラミックスは、部分溶解析出や超音溶解析出条件により、体液浸透性と骨伝導に優れた生体模倣セラミックスとなる可能性が示唆された。次いで、リン酸カルシウム系セラミックスにおける抗生物質の吸着特性を行った。バッチ法により、アパタイトセラミックス顆粒と抗生物質の水溶液を混合し、顆粒表面上の抗生物質の吸着量を測定し、生体模倣環境中の吸着機構を評価した。抗生物質にはセファメジン(CFZ)を採用した。CFZの吸着・徐放挙動は、セラミックス表面上に存在する吸着サイトが、温度、pH、流速に依存した溶解析出反応により変動した。セラミックス顆粒サイズと細孔分布の設計・制御の重要性が示唆された。また、手術領域では、後側方脊椎内視鏡を用いた手術アプローチと麻酔法について検討し、アプローチの困難な胸椎や腰仙椎への手術手技を開発した。
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Research Products
(11 results)