2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591897
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Research Institution | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
Principal Investigator |
酒井 義人 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 先端診療部, 脊椎外科医長 (70378107)
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Keywords | 脊椎脊髄病学 / 腰痛 |
Research Abstract |
高齢者の腰椎変性疾患の代表である腰部脊柱管狭窄症手術患者を対象に、腰痛に関する詳細なデータ収集と解析を行った。手術前後に100例のデータ解析を行い、腰部脊柱管狭窄症に伴う腰痛の要因を推測しえた。腰部脊柱管狭窄症手術例100例において腰痛を呈したのは53例で、腰痛性間欠性跛行36例、動作時腰痛17例、腰痛なし47例であった。腰痛の発生機序解明のため、これらの腰痛タイプ別に痛みの性状(visual analogue scale(VAS)、日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準(JOAスコア)、Roland-Morris Disability Questionnaire(RDQ)、short form of the McGill Pain Questionnaire(SF-MPQ)、SF-36)、腰背筋における画像(筋量、断面積)、筋機能(筋電図、筋音図、近赤外分光法(NIRS))を調査した。腰痛の程度には差はなかったが、動作時型では精神的要素の関与が認められた。間歇跛行型では痩せ型の女性に多く認めたが、全身・四肢筋量及び腰背筋断面背筋では差を認めなかった。多裂筋の筋電図では間歇跛行型で低振幅・高周波数であり筋音図でも低振幅であり、神経障害による筋収縮におけるtypeII線維の収縮低下とtypeI筋線維の導入が示唆された。NIRSによる多裂筋酸素動態は間欠跛行型において有意に酸素化が劣っていた。間欠跛行型では腰部脊柱管狭窄症による下肢神経痛と腰痛の左右一致が動作時腰痛と比較して有意に高く、腰痛の発症に何らかの神経性の関与を示唆しうる結果であった。手術後の腰痛の改善はJOAスコア(腰痛)の改善率は間欠性跛行型80.4%、動作時型52.6%と有意に間欠跛行型で良好であった。間欠跛行型を呈する腰痛では神経根圧迫による後枝の障害により、筋収縮や筋酸素動態に与える影響が腰痛性間欠跛行の発症に関連するものと考えられ、手術すなわち神経圧迫の解除により腰痛の改善が見込めることが判明した。
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Research Products
(8 results)