2009 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷2次障害に対するG-CSF・SCF併用療法(小胞体ストレス応答の解析)
Project/Area Number |
21591907
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 雅彦 Tokai University, 医学部, 准教授 (40220925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅山 香織 東海大学, 医学部, 助教 (20433914)
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Keywords | 脊髄損傷 / アポトーシス / 小胞体ストレス / GRP78 / オリゴデンドロサイト / 再髄鞘化 |
Research Abstract |
【背景・目的】成熟脊髄にはオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)が豊富に存在し、脱髄や外傷等の刺激により増殖するが、脊髄圧挫損傷では十分な再髄鞘形成は得られない。その一因として2次的損傷による遅発性細胞死が考えられる。われわれはアポトーシスにおける小胞体ストレスに応答したタンパク修飾異常について着目し、脊髄損傷後の遅発性細胞死に対する小胞体ストレス応答蛋白の関与を検討するために、アポトーシスを促進させるGADD153(CHOP)と抑制的に作用する小胞体シャペロンの一つであるGRP78の発現をin vitroとvivoで各種条件下に検討した。 【方法】in vitro:ラットC6細胞株を使用した。各種ストレス条件下でGRP78とCHOPの発現をFACSで定量的に評価した。死細胞とアポトーシスの評価はAnnexinVとP1で標識しFACSで測定して評価した。in vivo:ラット脊髄損傷モデルを作成し、各種神経細胞におけるGRP78の発現の変化を確認した。 【結果】in vitro : L-グルタミン酸及び過酸化水素水添加によりAnnexin V/P1陽性細胞は無処置群と比較して有意な増加を示した。低濃度(40~80mM,72~96時間)グルタミン酸添加ではGRP78発現は有意に増加したが、濃度の上昇にともない低下を示した。また、0.3μM1時間の過酸化水素水添加ではGRP78の有意な発現増加を認めたが、2μM2時間ではGRP78は有意に発現せず、CHOP発現の有意な増加を認めた。in vivo : GRP78陽性細胞数は損傷後に有意に増加しており、灰白質神経細胞と白質オリゴデンドロサイトで発現細胞の有意な増加を認めた,OPCでは有意な増加は認められなかった。 【考察】損傷刺激によりGRP78はin vitroとvivoにおいて強く発現した。しかしin vitroの結果からは、GRP78は過度のストレスには対応できず、これらが細胞死へいたる可能性が考えられた。in vivoにおいてOPCは細胞質が少ないことからGRP78の正確な評価は困難であり、CHOPの発現を含めて検討中である。現在、以上の結果を踏まえ、G-CSF,SCFを投与した脊髄損傷モデルにおけるGRP78陽性細胞の発現についてさらに検討を行っている。
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Research Products
(2 results)