2011 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症患者の手術前後のQOLとアクティビティに関する研究
Project/Area Number |
21591918
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
馬渡 正明 佐賀大学, 医学部, 教授 (80202357)
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Keywords | 人工股関節 / 人工膝関節 / QOL / 活動量 / 3次元動作解析 |
Research Abstract |
今年度は以下の2つの目的について研究を行った。目的1は股関節全置換術後患者で術前の調査票を回収できた対象者合計591名に、術後1年後にQOLの郵送調査を行った。術後調査の回収は70%で、術前に比べ、術後1年では、The Euroqol (EQ-5D)、Short Form-8(SF-8)、Oxford hip scoreの全てが有意に改善した(P=0.000)。術後は身体機能面だけでなく、心理面や社会面の改善が示された。また術後3年のQO:L調査も行い現在結果を解析中であるが、1年時よりさらに身体・心理・社会面の改善が見られている。目的2は、三次元動作解析装置(VICON)を用いて強直股関節患者10例と片側変形性股関節症(OA)患者10例、健常者10名の歩行を分析し、代償運動を調査した。歩行計測は10台の赤外線カメラで全身37か所に赤外線反射マーカーを貼った対象者を、約8mの歩行路を3回自由歩行させ、下肢関節角度と骨盤の傾斜を検討した。本調査の結果、強直股関節患者の関節角度は対側股関節屈伸55.4度、骨盤前後傾16.1度であり、OA患者44.3度/4.6度と健常者43.6度/4.6度に比べ、有意に大きかった。OAでは歩行速度や歩調が健常者より減少するため、近接関節には健常者より有意に大きくなる代償運動は認めなかったが、強直股関節患者では、歩行速度や歩調の減少が少なく、それは対側股関節と骨盤が健常者より有意に大きい運動角を示すことで得られていた。このような代償運動が、強直股関節患者の二次性の隣接関節障害に影響していると考えられた。またそれらの患者の術後半年、および1年での歩行解析を行い、上記の代償運動が減少し、隣接関節障害の低減が示唆される結果が出てきている。以上の成果につき現在論文執筆中である。
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