2010 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の心保護作用におけるミトコンドリアのカルシウム依存性カリウムチャネルの役割
Project/Area Number |
21591975
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大下 修造 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60144945)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克哉 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30263841)
堤 保夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (90523499)
|
Keywords | 吸入麻酔薬 / イソフルラン / 心筋保護効果 / Ca依存性Kチャネル / ミトコンドリア |
Research Abstract |
揮発性麻酔薬は心筋の虚血再潅流障害に対して保護作用を持つ。特に、一度心筋虚血が起こった後であっても、再潅流前に揮発性麻酔薬を投与すると、心筋梗塞サイズが減少する現象を、麻酔性ポストコンディショニングと呼ぶ。周術期は、通常よりも心虚血疾患に罹患する可能性が高い。全身麻酔に最も一般的に使われる揮発性麻酔薬が心虚血疾患に対して心保護作用を示すということは、臨床的に大変意義のあることである。我々は平成22年度、この揮発性麻酔薬によるポストコンディショニングの機序を解明するため、ミトコンドリアのCa依存性Kチャネル(KCa)とその上流にあるProtein Kinase A(PKA)の役割に着目し、研究を行った。 方法は、昨年同様、13週齢雄性ウサギのin vivo心筋虚血再潅流モデルを用いた。ウサギに冠動脈閉塞30分と再潅流3時間の虚血再潅流障害を与えた後、心筋梗塞サイズを測定した。 結果、揮発性麻酔薬の一つであるイソフルランを再潅流前に投与したウサギは、対象と比べて心筋梗塞サイズを有意に減少させたが(ポストコンディショニング;APost)、イソフルラン投与5分前に、KCa阻害剤であるIberiotoxinを投与すると、Apostは棄却された。また、Protein Kinase A (PKA)阻害剤であるH-89も同様に、Apost効果を棄却した。一方、KCa開口剤であるNs1619の再潅流時投与は、心筋梗塞サイズを有意に減少させたが、ApostとNS1619の併用はそれぞれの単独効果と差がなかった。 以上から、イソフルランによるApost効果の発現に、KCaの開口が必要であることが判明した。また、PKA活性化も関与する可能性が示された。
|
Research Products
(4 results)