2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン不応性前立腺癌におけるガラクトース結合レクチンの腫瘍制御機構の解明
Project/Area Number |
21592048
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福森 知治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10314874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 博臣 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10214446)
高橋 正幸 徳島大学, 病院, 講師 (50325255)
中逵 弘能 徳島大学, 病院, 助教 (50437638)
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Keywords | 前立腺癌 / ガレクチン-3 / ホルモン不応性 / ホルモン受容体 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
ガレクチン-3はガラクトース結合レクチンの1つで、アポトーシス調節に関与し、癌の浸潤・転移に重要な分子の1つであることが示唆されている。われわれは、ホルモン不応性前立腺癌に対して、ガレクチン-3がホルモン耐性の獲得および抗がん剤、放射線治療抵抗性の獲得にいかに関与しているかを検討するために、siRNAを使用して、ガレクチン-3強発現細胞株(PC3およびDU145)からガレクチン-3をノックアウトした細胞株を構築した。これらの細胞株において、アンドロゲンレセプター、グルココルチコイドレセプターの発現に有意差は認めなかったが、ガレクチン-3をノックアウトしたPC3では、シスプラチン誘導によるアポトーシスが32%増加した。さらに、ガレクチン-3ノックアウトPC3は、シスプラチン投与時にミトコンドリア由来と思われる細胞質からのチトクロムCの放出が増加し、カスパーゼー3の活性化が有意に促進されることを見いだした。放射線照射に関しては、ガレクチン-3ノックアウトPC3では、PC3と比較してアポトーシスが14%増加した。以上の結果より、ホルモン不応性前立腺癌細胞株(PC3)では、ガレクチン-3が抗がん剤および放射線治療の耐性に関与していることが示唆された。 さらに、われわれは、ガレクチン-3のリコンビナント蛋白質をマウスに免疫し、ガレクチン-3の発現を抑えるブロッキング抗体を網羅的に抽出しており、現在、候補になる抗体を数種類作成している。今後、ガレクチン-3を強発現したホルモン不応性前立腺癌の細胞株にこれらの抗体を投与することでガレクチン-3の発現を抑えるかを検討する。さらに、ガレクチン-3ブロッキング抗体の抗腫瘍効果を検討し、治療への応用を目指すものである。
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Research Products
(9 results)