2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規脳内ペプチドによるゴナドトロピン分泌調節機構と各種ストレスによる影響の検討
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21592100
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松崎 利也 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70294692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苛原 稔 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20160070)
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Keywords | プログラミング / 絶食ストレス / 性機能 / レプチン / 神経ペプチド / ゴナドトロピン / 視床下部 |
Research Abstract |
1)GnIHホモログRFRPのゴナドトロピン分泌抑制作用とその機構の解明 (1)発達期のラット視床下部におけるRFRPとその受容体(RFRP-R)の発現の推移 SD系雌雄ラットを用いて、性成熟過程における、RFRPとRFRP受容体(RFRPr)の発現の推移と性ステロイドの影響について検討した。性成熟にともないRFRPとRFRPrの発現は上昇した。また、性腺摘出でRFRPとRFRPrの発現は変化しなかった。来年度は、蛋白レベルで検討する。 (2)RFRPの思春期発来における意義 Wistar系幼弱雌ラットを用い、RFRP-3、GnIH中和抗体または生理食塩水を、浸透圧ミニポンプに充填して14日間慢性脳室内投与し、各群の腟開口日を検討した。その結果、各群の腟開口日に有意差は見らなかった。来年度は、RFRP拮抗薬のRF9を慢性投与して検討を進める。 2)絶食ストレスによるキスペプチンの発現 絶食ストレスに対するkisspeptin関連遺伝子発現の感受性の発達過程における変化とレプチンの関与について検討した。低栄養に対し、Kiss1発現の低下反応は日齢15から25にかけて発達し、Kiss1rの低下反応は日齢5ですでに確立されていた。日齢25では血中レプチンとKiss1r発現に有意な正の相関を認め、また、絶食中にレプチンを投与すると、Kiss1r発現の抑制が解除されたことから、幼弱期の低栄養時にはレプチンの低下によりKiss1r発現が低下に関わると考えられた。 3)胎生期ストレスが性機能と摂食調節機構に及ぼす長期的影響 妊娠ラット(母獣)に自由摂食または自由摂食の2分の1の摂食制限をかけ、これら2群の母獣から出生した仔の雌を用いて、性成熟を比較した。胎生期低栄養群は、16日齢から33日齢までのいずれの時期においてもKiss-1mRNAの発現が低く、腟開口が遅延したが、kisspeptinの脳室内慢性投与により腟開口遅延は解除された。胎生期の低栄養が視床下部におけるkisspeptinの発現を低下させ、出生後の性成熟および思春期発来を遅らせることが判明した。
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